第6章 円運動と万有引力

万有引力による位置エネルギー
─ 無限遠基準の意味

高校物理では、万有引力による位置エネルギー $U = -GMm/r$ を公式として覚えます。 「なぜマイナスなのか」は直感的に分かりにくく、多くの受験生がつまずくポイントです。 また、脱出速度 $v = \sqrt{2GM/R}$ も公式として暗記することになります。

大学物理では、M-5-3で学んだ「力とポテンシャルの関係 $F = -dU/dr$」を応用して、 万有引力のポテンシャルを導出します。 無限遠で $U = 0$ と置く理由、マイナスになる理由がすべて論理的に説明できます。 さらに、エネルギー保存を使って脱出速度を導出します。

この記事では、万有引力のポテンシャルの導出から脱出速度の計算、 そして力学的エネルギーの値と軌道の種類の関係まで見通します。

1高校での扱いを確認する

高校物理では、万有引力による位置エネルギーと宇宙速度を次のように学びます。

  • 万有引力による位置エネルギー:$U = -\dfrac{GMm}{r}$(無限遠を基準。公式として暗記)
  • 第一宇宙速度:地表すれすれを周回する速度 $v_1 = \sqrt{gR}$
  • 第二宇宙速度(脱出速度):地球の重力圏を脱出するのに必要な最小の速度 $v_2 = \sqrt{2gR}$

高校の範囲での難しさを整理しておきます。

  • 「なぜマイナス?」が分かりにくい。地表の重力による位置エネルギー $mgh$ は正なのに、万有引力では負。直感に反すると感じやすい
  • 「無限遠基準」の意味が曖昧。なぜ無限遠で $U = 0$ と置くのか、他の基準ではダメなのかが不明確
  • 脱出速度の導出に $U = -GMm/r$ を天下り的に使う。公式の導出なしに公式を使って別の公式を導く構造

2大学の視点で何が変わるか

高校 vs 大学:万有引力のポテンシャル
高校:$U = -GMm/r$ を暗記
なぜマイナスか、なぜ無限遠基準かは直感的な説明のみ。
公式を覚えて使う。
大学:$F = -dU/dr$ から導出する
万有引力を積分すればポテンシャルが出る。
M-5-3の直接的な応用。
高校:マイナスの理由が分かりにくい
「そういうものだ」と受け入れる。
大学:マイナスになる理由が論理的に分かる
引力が仕事 → エネルギーが下がる → 負。
高校:脱出速度の公式を暗記
$v_2 = \sqrt{2gR}$ を覚える。
大学:エネルギー保存から導出
全力学的エネルギー $= 0$ の条件で自然に出る。
この記事で得られること

$U = -GMm/r$ を自分で導出できる。 M-5-3で学んだ $F = -dU/dr$ の関係を使い、万有引力を積分するだけです。 公式の暗記ではなく、導出の道筋を理解できます。

マイナスの意味が完全に理解できる。 無限遠($U = 0$)から近づくと引力が正の仕事をし、運動エネルギーが増え、 位置エネルギーは下がる。だから負になります。

エネルギーの値で軌道の種類が決まることを理解できる。 $E < 0$ で束縛軌道(楕円)、$E = 0$ で放物線、$E > 0$ で双曲線。 脱出速度は $E = 0$ の境界条件として導出されます。

3万有引力のポテンシャルの導出

M-5-3で、保存力とポテンシャル(位置エネルギー)の関係を学びました。 1次元の場合、力 $F$ とポテンシャル $U$ の間には次の関係があります。

$$F = -\frac{dU}{dr}$$

これを逆に使えば、力からポテンシャルを求めることができます。 万有引力 $F(r) = -GMm/r^2$ を積分してみましょう。

導出:万有引力のポテンシャル

$F = -\dfrac{dU}{dr}$ より $U = -\displaystyle\int F\,dr$。

万有引力は $F(r) = -\dfrac{GMm}{r^2}$ なので:

$$U(r) = -\int \left(-\frac{GMm}{r^2}\right) dr = \int \frac{GMm}{r^2}\,dr$$

$\dfrac{1}{r^2} = r^{-2}$ の積分は $\dfrac{r^{-1}}{-1} = -\dfrac{1}{r}$ なので:

$$U(r) = -\frac{GMm}{r} + C$$

ここで積分定数 $C$ は基準点の選び方で決まります。 無限遠($r \to \infty$)で $U = 0$ とする慣習を採用すると:

$U(\infty) = 0 + C = 0$ → $C = 0$

したがって:

$$U(r) = -\frac{GMm}{r}$$

万有引力による位置エネルギー

$$U(r) = -\frac{GMm}{r}$$

無限遠を基準($U(\infty) = 0$)としたときの位置エネルギー。 $r$ が小さい(天体に近い)ほど $U$ は大きな負の値を取る。
導出の確認:$F = -dU/dr$ を検算する

導出結果が正しいか、$U = -GMm/r$ を $r$ で微分して力が再現されるか確認しましょう。

$$F = -\frac{dU}{dr} = -\frac{d}{dr}\left(-\frac{GMm}{r}\right) = -GMm \cdot \frac{1}{r^2} = -\frac{GMm}{r^2}$$

確かに万有引力(引力なので負の符号)が再現されます。ポテンシャルの導出が正しいことが確認できました。

なぜ無限遠を基準にするのか

ポテンシャルの基準点は自由に選べます。地表を基準にすることもできます。 しかし万有引力の場合、無限遠を基準にするのが最も自然です。理由は2つあります。

(1) 万有引力は $r \to \infty$ でゼロになるので、「力がゼロの場所でポテンシャルもゼロ」という自然な基準になる。

(2) 地表付近の $mgh$ は、実は $U = -GMm/r$ を地表付近で近似したものです($r = R + h$ として $h \ll R$ の場合に展開すると $U \approx -GMm/R + mgh$ となり、定数を除けば $mgh$)。つまり高校の $mgh$ と大学の $-GMm/r$ は矛盾しておらず、後者のほうがより一般的な式です。

4なぜマイナスになるか

$U = -GMm/r$ が常に負であることは、導出の過程から自然に理解できます。

無限遠にある物体($U = 0$)が万有引力に引かれて天体に近づいていく場面を考えましょう。

  1. 無限遠ではポテンシャル $U = 0$。物体は静止しているとする(運動エネルギー $K = 0$)
  2. 万有引力(引力)が物体を引き寄せ、物体は加速する → $K$ が増える
  3. 力学的エネルギー保存 $K + U = $ 一定 $= 0$ なので、$K$ が増えれば $U$ は減る
  4. $K > 0$ なので $U < 0$ にならなければ辻褄が合わない
落とし穴:「マイナスのエネルギー」に物理的な意味はあるか

誤解:「マイナスのエネルギーは物理的におかしい」

正しい理解:ポテンシャルエネルギーの値は基準点の選び方に依存します。 物理的に意味があるのはポテンシャルの差(2点間のエネルギー差)であり、 絶対値そのものではありません。 マイナスであること自体は「基準点(無限遠)よりエネルギーが低い」ということを表しているだけです。

5脱出速度の導出

天体の表面(半径 $R$)から物体を打ち上げ、無限遠に到達させるために必要な最小の速度が脱出速度(第二宇宙速度)です。

エネルギー保存による導出

「無限遠にぎりぎり到達できる」とは、無限遠で速度がちょうどゼロになる($K = 0$, $U = 0$)ことです。 つまり、無限遠での力学的エネルギーがゼロです。

導出:脱出速度

地表での力学的エネルギー $=$ 無限遠での力学的エネルギー:

$$\frac{1}{2}mv_{\text{esc}}^2 + \left(-\frac{GMm}{R}\right) = 0 + 0$$

整理すると:

$$\frac{1}{2}mv_{\text{esc}}^2 = \frac{GMm}{R}$$

$m$ で割って $v_{\text{esc}}$ について解くと:

$$v_{\text{esc}} = \sqrt{\frac{2GM}{R}}$$

脱出速度(第二宇宙速度)

$$v_{\text{esc}} = \sqrt{\frac{2GM}{R}}$$

地表での重力加速度 $g = GM/R^2$ を使えば $v_{\text{esc}} = \sqrt{2gR}$ とも書ける。 地球の場合 $v_{\text{esc}} \approx 11.2$ km/s。

脱出速度の本質は「力学的エネルギーがゼロ以上であれば、無限遠に到達できる」ということです。 $E = 0$ が脱出の境界条件であり、$E > 0$ なら余裕を持って脱出、$E < 0$ なら脱出できず束縛されます。

6第一宇宙速度との比較

第一宇宙速度(地表すれすれを周回する速度)と脱出速度の関係を整理しましょう。

第一宇宙速度の導出

地表すれすれの円軌道で、向心力=万有引力より:

$$\frac{mv_1^2}{R} = \frac{GMm}{R^2} \quad \Rightarrow \quad v_1 = \sqrt{\frac{GM}{R}} = \sqrt{gR}$$

第一宇宙速度と脱出速度の関係

速度 地球での値 意味
第一宇宙速度 $v_1$ $\sqrt{gR}$ 約 7.9 km/s 地表すれすれを周回
脱出速度 $v_2$ $\sqrt{2gR}$ 約 11.2 km/s 重力圏から脱出

2つの速度の比は:

$$\frac{v_2}{v_1} = \frac{\sqrt{2gR}}{\sqrt{gR}} = \sqrt{2} \approx 1.41$$

$\sqrt{2}$ 倍の意味

脱出速度は第一宇宙速度の $\sqrt{2}$ 倍です。 これは偶然ではなく、エネルギーの観点から理解できます。

周回軌道では運動エネルギー $K = GMm/(2R)$、ポテンシャル $U = -GMm/R$ なので、 力学的エネルギーは $E = K + U = -GMm/(2R) < 0$(束縛状態)。

脱出には $E = 0$ が必要で、これは $K = GMm/R$(周回時の2倍の運動エネルギー)に相当します。 $K \propto v^2$ なので、速度は $\sqrt{2}$ 倍必要です。

7力学的エネルギーと軌道の種類

万有引力のもとでの力学的エネルギーの値は、物体の軌道の種類を決定します。

力学的エネルギーと軌道の関係

$$E = \frac{1}{2}mv^2 - \frac{GMm}{r}$$

$E$ の値に応じて軌道の種類が決まる。
エネルギー $E$ の値 軌道の種類 物理的意味
$E < 0$ 楕円(円を含む) 束縛軌道。物体は天体から離れられない
$E = 0$ 放物線 ぎりぎり脱出。無限遠で速度ゼロ
$E > 0$ 双曲線 余裕を持って脱出。無限遠でも速度あり

M-6-3で学んだケプラーの法則と合わせると、次のように理解できます。

  • 惑星は太陽に束縛されているので $E < 0$。したがって楕円軌道
  • 脱出速度で打ち上げた物体は $E = 0$。放物線軌道を描いて無限遠へ去る
  • 脱出速度を超えて打ち上げた物体は $E > 0$。双曲線軌道を描く
ボイジャー探査機と双曲線軌道

1977年に打ち上げられたボイジャー1号・2号は、木星や土星の重力でスイングバイ加速を受け、 太陽系の脱出速度を超えました。これらの探査機は太陽に対して $E > 0$ の双曲線軌道にあり、 太陽系から離れ続けています。

軌道の種類がエネルギーの正負で決まるという原理は、 人工衛星の設計から惑星探査まで、宇宙工学の基本です。

8つながりマップ

万有引力のポテンシャルは、力学の全体像をつなぐ重要な概念です。

  • ← M-5-3 保存力とポテンシャルエネルギー:$F = -dU/dr$ の関係を使い、万有引力からポテンシャルを導出した。
  • ← M-5-4 力学的エネルギー保存則:$K + U = $ 一定を使い、脱出速度を導出した。
  • ← M-6-1 等速円運動:第一宇宙速度の導出に向心力の式を使った。
  • ← M-6-3 万有引力とケプラーの法則:楕円・放物線・双曲線の軌道分類が、エネルギーの正負で統一的に理解できる。
  • → T-7-1 気体の分子運動論:力学編の最後から熱力学編へ。ミクロな力学の応用。

📋まとめ

  • 万有引力のポテンシャルは $F = -dU/dr$ を積分して $U(r) = -GMm/r$ と導出できる
  • 無限遠で $U = 0$ と置くのは、力がゼロの場所を基準にするという自然な選択
  • $U$ が負なのは、無限遠から近づくと引力が仕事をしてエネルギーが下がるため
  • 脱出速度は $E = 0$ の条件から $v_{\text{esc}} = \sqrt{2GM/R} = \sqrt{2}\,v_1$
  • 力学的エネルギーの符号で軌道が決まる:$E < 0$ 楕円、$E = 0$ 放物線、$E > 0$ 双曲線

確認テスト

Q1. 万有引力のポテンシャル $U = -GMm/r$ はどのようにして導出されますか。

▶ クリックして解答を表示力とポテンシャルの関係 $F = -dU/dr$ を積分に書き換え、万有引力 $F = -GMm/r^2$ を積分する。積分定数は無限遠で $U = 0$ の条件から $C = 0$ と定まる。

Q2. 万有引力のポテンシャルが常に負になる物理的な理由は何ですか。

▶ クリックして解答を表示無限遠($U = 0$)から物体が天体に近づくとき、引力が正の仕事をする。力学的エネルギー保存により、運動エネルギーが増加する分、位置エネルギーは減少する。$U = 0$ から減少するので $U < 0$ になる。

Q3. 脱出速度と第一宇宙速度の比 $v_2/v_1$ の値と、その理由を述べてください。

▶ クリックして解答を表示$v_2/v_1 = \sqrt{2}$。脱出には周回時の2倍の運動エネルギーが必要($E = 0$ にするため)。$K \propto v^2$ なので速度は $\sqrt{2}$ 倍。

Q4. 力学的エネルギーが $E < 0$ の場合、物体の軌道はどうなりますか。

▶ クリックして解答を表示束縛軌道(楕円または円)。$E < 0$ は物体が無限遠に到達するための運動エネルギーが不足していることを意味し、天体のまわりを周回し続ける。

10演習問題

万有引力のポテンシャルとエネルギーの関係を、問題で確認しましょう。

A 基礎レベル

6-4-1 A 基礎 脱出速度

質量 $M = 6.0 \times 10^{24}$ kg、半径 $R = 6.4 \times 10^6$ m の天体がある。$G = 6.67 \times 10^{-11}$ N m$^2$ kg$^{-2}$ として、次の問いに答えよ。

(1) この天体の表面すれすれを周回する速度(第一宇宙速度)を求めよ。

(2) この天体からの脱出速度(第二宇宙速度)を求めよ。

(3) (1)と(2)の比を求めよ。

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(1) $v_1 = \sqrt{GM/R} = \sqrt{6.67 \times 10^{-11} \times 6.0 \times 10^{24} / (6.4 \times 10^6)} \approx 7.9 \times 10^3$ m/s $= 7.9$ km/s

(2) $v_2 = \sqrt{2GM/R} \approx 11.2$ km/s

(3) $v_2/v_1 = \sqrt{2} \approx 1.41$

解説

(1) 向心力=万有引力から $v_1 = \sqrt{GM/R}$。

(2) エネルギー保存で $E = 0$ とすると $v_2 = \sqrt{2GM/R}$。

(3) $v_2 = \sqrt{2}\,v_1$ は天体の質量や半径によらない一般的な関係です。

B 発展レベル

6-4-2 B 発展 エネルギー保存 導出

質量 $M$、半径 $R$ の天体の表面から、質量 $m$ の物体を鉛直上方に初速 $v_0$ で打ち上げる。ただし $v_0 < v_{\text{esc}}$ とする。次の問いに答えよ。

(1) 物体が到達する最高点の天体中心からの距離 $r_{\max}$ を、$v_0$、$G$、$M$、$R$ を用いて表せ。

(2) $v_0 = v_{\text{esc}}/2$ のとき、$r_{\max}$ を $R$ を用いて表せ。

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(1) $r_{\max} = \dfrac{1}{\dfrac{1}{R} - \dfrac{v_0^2}{2GM}}$

(2) $r_{\max} = \dfrac{4}{3}R$

解説

(1) 最高点では速度ゼロなので $K = 0$。エネルギー保存:

$\dfrac{1}{2}mv_0^2 - \dfrac{GMm}{R} = 0 - \dfrac{GMm}{r_{\max}}$

$\dfrac{GMm}{r_{\max}} = \dfrac{GMm}{R} - \dfrac{1}{2}mv_0^2$

$\dfrac{1}{r_{\max}} = \dfrac{1}{R} - \dfrac{v_0^2}{2GM}$

(2) $v_{\text{esc}} = \sqrt{2GM/R}$ より $v_0 = v_{\text{esc}}/2$ のとき $v_0^2 = GM/(2R)$。

$\dfrac{1}{r_{\max}} = \dfrac{1}{R} - \dfrac{1}{2 \cdot 2R} = \dfrac{1}{R} - \dfrac{1}{4R} = \dfrac{3}{4R}$

$r_{\max} = \dfrac{4}{3}R$。天体中心から $4R/3$ の距離、つまり地表から $R/3$ の高さまで上がります。

採点ポイント
  • エネルギー保存の式を正しく立てる(3点)
  • $r_{\max}$ を正しく求める(3点)
  • $v_0 = v_{\text{esc}}/2$ の代入を正しく行う(2点)
  • 最終的な答えの物理的解釈(2点)

C 応用レベル

6-4-3 C 応用 軌道とエネルギー 論述

質量 $M$ の天体の表面(半径 $R$)から、質量 $m$ の物体を速さ $v_0$ で打ち上げる。次の問いに答えよ。

(1) 力学的エネルギー $E$ を $v_0$、$G$、$M$、$m$、$R$ を用いて表せ。

(2) $E < 0$、$E = 0$、$E > 0$ のそれぞれの場合について、物体の運動を述べよ。

(3) 半径 $R$ の円軌道上を周回する物体の力学的エネルギーを求め、その値が必ず負であることを示せ。この結果とケプラーの第1法則の関係を述べよ。

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解答

(1) $E = \dfrac{1}{2}mv_0^2 - \dfrac{GMm}{R}$

(2) $E < 0$:束縛軌道(楕円)。物体は天体から無限に遠ざかることができず、周回する。
$E = 0$:放物線軌道。物体はぎりぎり脱出し、無限遠で速度ゼロになる。
$E > 0$:双曲線軌道。物体は脱出し、無限遠でも速度を持つ。

(3) 円軌道で $v^2 = GM/R$ なので $K = GMm/(2R)$、$U = -GMm/R$。
$E = K + U = GMm/(2R) - GMm/R = -GMm/(2R) < 0$。
$E < 0$ なので軌道は楕円。円は離心率 $e = 0$ の楕円であり、ケプラーの第1法則と整合する。

解説

(1) 打ち上げ時点での運動エネルギー $K = \frac{1}{2}mv_0^2$ とポテンシャル $U = -GMm/R$ の和です。

(2) エネルギーの符号が軌道の種類を決定します。$E < 0$ では物体はポテンシャルの「井戸」に閉じ込められ、$E \geq 0$ では脱出可能です。

(3) 円軌道の力学的エネルギーはポテンシャルの半分の大きさで負です($E = U/2$)。 $G$, $M$, $m$, $R$ はすべて正なので $E = -GMm/(2R) < 0$ が常に成り立ちます。 $E < 0$ は束縛軌道(楕円)を意味するので、円軌道が楕円の特別な場合であるというケプラーの第1法則と矛盾しません。

採点ポイント
  • 力学的エネルギーの式を正しく書く(2点)
  • 3つの場合を正しく分類(3点)
  • 円軌道の $E$ を計算し負であることを示す(3点)
  • ケプラー第1法則との関係を述べる(2点)