第4章 運動量と力積

反発係数とエネルギー損失

高校物理では、反発係数(はね返り係数)$e$ を「衝突後の相対速度と衝突前の相対速度の比」として定義し、 $e = 1$ が完全弾性衝突、$e = 0$ が完全非弾性衝突であると学びます。 しかし、「なぜ $e = 1$ のとき運動エネルギーが保存するのか」は証明されず、事実として受け入れるしかありません。

大学物理では、反発係数と運動エネルギーの損失率の関係を数式で証明します。 その過程で換算質量という便利な概念を導入し、2体衝突の問題を見通しよく整理する方法を学びます。 さらに、重心系で衝突を見ると、問題の対称性が明らかになり、計算が大幅に簡素化されることを示します。

この記事を通じて、反発係数の定義の背後にある物理的意味が明確になり、 衝突問題を体系的に扱える道具を手に入れることができます。

1高校での扱いを確認する

高校物理では、反発係数(はね返り係数)を次のように定義します。

反発係数の定義(高校版)

$$e = -\frac{v_1' - v_2'}{v_1 - v_2} = \frac{|v_1' - v_2'|}{|v_1 - v_2|}$$

$v_1, v_2$:衝突前の速度、$v_1', v_2'$:衝突後の速度。 $e = 1$:完全弾性衝突、$0 < e < 1$:非弾性衝突、$e = 0$:完全非弾性衝突。

高校ではこの定義に基づいて、$e$ の値と衝突の種類を対応づけ、 運動量保存と組み合わせて衝突後の速度を求めます。この手順自体は有効ですが、次のような疑問が残ります。

  • なぜ $e = 1$ のとき運動エネルギーが保存するのか。反発係数の定義と運動エネルギーの保存は、一見すると関係がないように見える
  • $e$ とエネルギー損失の定量的な関係は何か。$e = 0.5$ のとき、運動エネルギーはどれだけ失われるのか
  • 衝突を「うまく」解析する方法はないか。2つの保存則を連立して解くのは煩雑になりがち

2大学の視点で見ると何が変わるのか

大学物理では、反発係数の定義そのものは高校と同じですが、 その背後にある物理的意味をエネルギーの観点から定量的に分析します。

高校 vs 大学:反発係数の理解
高校:$e$ の値で衝突を分類
$e = 1$:完全弾性、$e = 0$:完全非弾性。
$e$ とエネルギーの関係は天下りで与えられる。
大学:$e$ とエネルギー損失を定量的に結びつける
$\Delta KE = \dfrac{1}{2}\mu v_{\text{rel}}^2(1 - e^2)$ を証明する。
$e = 1$ でエネルギー保存が成り立つ理由が分かる。
高校:2つの式を連立して解く
運動量保存と $e$ の式を連立。計算が煩雑。
大学:換算質量と重心系で見通しよく解く
2体問題を1体問題に帰着させる技法。
高校:実験室系のみ
地面に固定した視点(実験室系)で解析。
大学:重心系で衝突を見る
重心系では全運動量 = 0 となり、衝突が対称的に見える。
この記事で得られること

$e$ とエネルギー損失の関係を証明できる。 $e = 1$ でエネルギーが保存し、$e < 1$ でエネルギーが失われることを、計算で示せるようになります。

換算質量 $\mu$ を使いこなせる。 2体問題を1体問題に帰着させるこの概念は、衝突に限らず大学物理の多くの場面で役立ちます。

重心系での問題の見通しが良くなる。 重心系に移ることで衝突問題が対称的になり、結果を直感的に理解できるようになります。

3反発係数とエネルギー損失の関係

質量 $m_1$ の物体1と質量 $m_2$ の物体2が一直線上で衝突する場合を考えます。 衝突前の速度を $v_1, v_2$、衝突後の速度を $v_1', v_2'$ とします。

使える式は2つです。

  • 運動量保存:$m_1 v_1 + m_2 v_2 = m_1 v_1' + m_2 v_2'$
  • 反発係数の定義:$v_1' - v_2' = -e(v_1 - v_2)$

衝突前後の運動エネルギーの変化 $\Delta KE$ を求めましょう。

証明:エネルギー損失と反発係数の関係

相対速度を $v_{\text{rel}} = v_1 - v_2$(衝突前)、$v_{\text{rel}}' = v_1' - v_2'$(衝突後)と定義します。

反発係数の定義より、$v_{\text{rel}}' = -e\,v_{\text{rel}}$ です。

運動量保存 $m_1 v_1 + m_2 v_2 = m_1 v_1' + m_2 v_2'$ より、

$$m_1(v_1 - v_1') = m_2(v_2' - v_2) \quad \cdots (*)$$

運動エネルギーの変化を計算します。

$$\Delta KE = \frac{1}{2}m_1 v_1'^2 + \frac{1}{2}m_2 v_2'^2 - \frac{1}{2}m_1 v_1^2 - \frac{1}{2}m_2 v_2^2$$

$$= \frac{1}{2}m_1(v_1'^2 - v_1^2) + \frac{1}{2}m_2(v_2'^2 - v_2^2)$$

$$= \frac{1}{2}m_1(v_1' - v_1)(v_1' + v_1) + \frac{1}{2}m_2(v_2' - v_2)(v_2' + v_2)$$

$(*)$ より $m_1(v_1' - v_1) = -m_2(v_2' - v_2)$ なので、$m_1(v_1' - v_1) = A$ とおくと、

$$\Delta KE = \frac{A}{2}\bigl[(v_1' + v_1) - (v_2' + v_2)\bigr]$$

$$= \frac{A}{2}\bigl[(v_1' - v_2') + (v_1 - v_2)\bigr]$$

$$= \frac{A}{2}\bigl[-e\,v_{\text{rel}} + v_{\text{rel}}\bigr] = \frac{A}{2}(1 - e)\,v_{\text{rel}}$$

一方、$A = m_1(v_1' - v_1)$ を求めるために、運動量保存と反発係数の式を連立すると、

$$v_1' - v_1 = -\frac{m_2}{m_1 + m_2}(1 + e)\,v_{\text{rel}}$$

よって $A = -\dfrac{m_1 m_2}{m_1 + m_2}(1 + e)\,v_{\text{rel}}$

代入して、

$$\Delta KE = -\frac{1}{2}\frac{m_1 m_2}{m_1 + m_2}(1 + e)(1 - e)\,v_{\text{rel}}^2 = -\frac{1}{2}\mu\,v_{\text{rel}}^2(1 - e^2)$$

衝突によるエネルギー損失

$$|\Delta KE| = \frac{1}{2}\mu\,v_{\text{rel}}^2(1 - e^2)$$

$\mu = \dfrac{m_1 m_2}{m_1 + m_2}$(換算質量)、$v_{\text{rel}} = v_1 - v_2$(衝突前の相対速度)、$e$(反発係数)。
$e = 1$ のとき $\Delta KE = 0$(完全弾性衝突、エネルギー保存)。
$e = 0$ のとき $|\Delta KE| = \dfrac{1}{2}\mu v_{\text{rel}}^2$(最大のエネルギー損失)。
$e = 1$ でエネルギーが保存する理由

上の式から、$e = 1$ のとき $1 - e^2 = 0$ となり、$\Delta KE = 0$ です。 つまり、反発係数が1であることと運動エネルギーが保存することは、論理的に同値です。

高校では「$e = 1$ のとき完全弾性衝突であり、運動エネルギーが保存する」と天下りに教えられますが、 これは上の証明により数学的に導かれる結果です。

4換算質量の導入

前のセクションで登場した $\mu = \dfrac{m_1 m_2}{m_1 + m_2}$ を換算質量(reduced mass)と呼びます。 これは大学物理で頻繁に現れる重要な概念です。

換算質量の定義

$$\mu = \frac{m_1 m_2}{m_1 + m_2}$$

等価な定義:$\dfrac{1}{\mu} = \dfrac{1}{m_1} + \dfrac{1}{m_2}$(調和平均の形)。
$\mu$ は必ず $m_1, m_2$ のどちらよりも小さい。

換算質量の物理的意味

換算質量は、2体問題を1体問題に帰着させるための道具です。 2つの物体が互いに力を及ぼし合う問題を、「換算質量 $\mu$ の仮想的な1つの物体が力を受ける問題」に変換できます。

エネルギー損失の式 $|\Delta KE| = \frac{1}{2}\mu v_{\text{rel}}^2(1 - e^2)$ を見ると、 衝突のエネルギー論が「質量 $\mu$ の物体が相対速度 $v_{\text{rel}}$ で運動しているときの運動エネルギー $\frac{1}{2}\mu v_{\text{rel}}^2$」を 基準にして記述されていることが分かります。

換算質量の性質

条件 $\mu$ の値 意味
$m_1 = m_2 = m$ $\mu = m/2$ 等しい質量の場合、換算質量は各質量の半分
$m_1 \gg m_2$ $\mu \approx m_2$ 片方が非常に重いとき、換算質量は軽い方にほぼ等しい
$m_2 \to \infty$(壁) $\mu \to m_1$ 壁への衝突は「質量 $m_1$ の物体だけの問題」に帰着する
落とし穴:換算質量は「平均」ではない

誤解:「換算質量は2つの質量の平均 $(m_1 + m_2)/2$ である」

正確:換算質量は調和平均($1/\mu = 1/m_1 + 1/m_2$)であり、常に各質量よりも小さい値になります。 例えば $m_1 = 1$ kg、$m_2 = 3$ kg のとき、算術平均は 2 kg ですが、換算質量は $\mu = 3/4 = 0.75$ kg です。

5重心系での衝突

衝突問題を分析する際に、重心系(重心に乗った視点)で見ると、問題が対称的になり見通しが良くなります。

重心系とは何か

重心系とは、重心が静止しているように見える座標系のことです。 重心速度 $v_G = (m_1 v_1 + m_2 v_2)/(m_1 + m_2)$ に合わせて動く観測者から見た世界です。

重心系での各物体の速度は、

  • $\tilde{v}_1 = v_1 - v_G$
  • $\tilde{v}_2 = v_2 - v_G$

重心系の最大の特徴は、全運動量がゼロであることです。

$$m_1 \tilde{v}_1 + m_2 \tilde{v}_2 = m_1(v_1 - v_G) + m_2(v_2 - v_G) = (m_1 v_1 + m_2 v_2) - (m_1 + m_2)v_G = 0$$

重心系での衝突の対称性

重心系では全運動量がゼロなので、衝突後も全運動量はゼロです。 つまり、$m_1 \tilde{v}_1' + m_2 \tilde{v}_2' = 0$ です。

さらに、反発係数の定義 $\tilde{v}_1' - \tilde{v}_2' = -e(\tilde{v}_1 - \tilde{v}_2)$ を適用すると、 重心系では各物体の速度が単純に $e$ 倍になって反転することが分かります。

重心系での衝突

$$\tilde{v}_1' = -e\,\tilde{v}_1, \qquad \tilde{v}_2' = -e\,\tilde{v}_2$$

重心系では、各物体は衝突後に元の速度の $e$ 倍の速さで逆向きに運動する。 $e = 1$ なら速さは変わらず向きだけ反転(完全弾性衝突)。 $e = 0$ なら両方とも静止(完全非弾性衝突 = 重心系で見ると2つの物体が止まって合体)。

この結果は、重心系で見ると衝突が極めて対称的であることを示しています。 実験室系では複雑に見える衝突も、重心系に移れば「速度が $e$ 倍になって反転するだけ」という単純な描像になります。

なぜ重心系が便利なのか

実験室系では、衝突後の速度を求めるために運動量保存と反発係数の式を連立する必要があります。 しかし重心系では、衝突後の速度は $\tilde{v}_i' = -e\,\tilde{v}_i$ で直ちに求まります。

実験室系の答えが欲しければ、$v_i' = \tilde{v}_i' + v_G$ で変換し直せばよいのです。 手順は「実験室系 → 重心系に変換 → 衝突を処理 → 実験室系に戻す」です。

重心系で見ると衝突が分かりやすくなる理由

重心系では全運動量がゼロなので、2つの物体は常に「対称的」に運動しています。 $m_1 \tilde{v}_1 = -m_2 \tilde{v}_2$ が常に成り立つため、一方の運動が決まれば他方も自動的に決まります。

衝突の効果は「相対速度が $e$ 倍になること」だけです。 重心系で見ると、衝突の本質が「相対運動のエネルギーが $(1 - e^2)$ の割合で失われる」ことに集約されます。

6つながりマップ

反発係数とエネルギー損失の議論は、力学の複数のテーマと結びついています。

  • ← M-4-1 運動量保存則:衝突で運動量は常に保存する。反発係数はエネルギーの保存/非保存を記述する追加の情報。
  • ← M-4-2 力積と運動量の関係:衝突中の力積が運動量変化を決める。反発係数は力積の「対称性」と関係する。
  • ← M-3-3 重心の数学的定義:重心系の概念。全運動量がゼロになる座標系で衝突を見る。
  • → M-5-1 仕事の定義:エネルギーの変化を仕事の観点から見る。衝突で失われるエネルギーは変形や熱に変換される。
  • → M-5-3 力学的エネルギー保存則:完全弾性衝突($e = 1$)は力学的エネルギー保存則が成り立つ特別な場合。

📋まとめ

  • 衝突によるエネルギー損失は $|\Delta KE| = \dfrac{1}{2}\mu v_{\text{rel}}^2(1 - e^2)$。$e = 1$ でエネルギー保存が数学的に証明される
  • 換算質量 $\mu = m_1 m_2/(m_1 + m_2)$ は2体問題を1体問題に帰着させる道具。常に各質量より小さい
  • 重心系では全運動量がゼロ。衝突は「各速度が $e$ 倍になって反転する」という単純な描像になる
  • 完全非弾性衝突($e = 0$)は重心系で見ると「両物体が静止して合体する」こと。エネルギー損失は最大
  • 衝突問題は「実験室系 → 重心系 → 衝突処理 → 実験室系」の手順で見通しよく解ける

確認テスト

Q1. 反発係数 $e = 1$ のとき、衝突で運動エネルギーが保存することを、エネルギー損失の式から説明してください。

▶ クリックして解答を表示$|\Delta KE| = \frac{1}{2}\mu v_{\text{rel}}^2(1 - e^2)$ に $e = 1$ を代入すると $1 - e^2 = 0$ となり、$\Delta KE = 0$。したがって運動エネルギーは保存する。

Q2. 質量 $2\,\text{kg}$ と $3\,\text{kg}$ の物体の換算質量を求めてください。

▶ クリックして解答を表示$\mu = \dfrac{2 \times 3}{2 + 3} = \dfrac{6}{5} = 1.2\,\text{kg}$。各質量(2 kg, 3 kg)より小さいことを確認。

Q3. 重心系での全運動量はいくらですか。また、その理由を述べてください。

▶ クリックして解答を表示ゼロ。重心系は重心が静止する座標系であり、$\mathbf{P} = M\mathbf{v}_G$ より $\mathbf{v}_G = 0$ のとき $\mathbf{P} = 0$。

Q4. 重心系で見たとき、完全非弾性衝突($e = 0$)ではどのようなことが起こりますか。

▶ クリックして解答を表示$\tilde{v}_1' = -e\,\tilde{v}_1 = 0$、$\tilde{v}_2' = -e\,\tilde{v}_2 = 0$。重心系で見ると、両物体ともに静止する。つまり合体して重心速度で一緒に動く(実験室系では $v_G$ で動く)。

10演習問題

反発係数、換算質量、重心系の考え方を問題で確認しましょう。

A 基礎レベル

4-3-1 A 基礎 反発係数 エネルギー

質量 $1\,\text{kg}$ の物体Aが速度 $6\,\text{m/s}$ で、静止している質量 $1\,\text{kg}$ の物体Bに正面衝突した。反発係数 $e = 0.5$ である。

(1) 衝突後の各物体の速度を求めよ。

(2) 衝突で失われた運動エネルギーを求めよ。

(3) $|\Delta KE| = \frac{1}{2}\mu v_{\text{rel}}^2(1 - e^2)$ を使って(2)の答えを検証せよ。

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(1) $v_A' = 1.5$ m/s、$v_B' = 4.5$ m/s

(2) $\Delta KE = -6.75$ J(6.75 J が失われる)

(3) $\mu = 0.5$ kg、$v_{\text{rel}} = 6$ m/s、$|\Delta KE| = \frac{1}{2} \times 0.5 \times 36 \times (1 - 0.25) = 6.75$ J。一致する。

解説

(1) 運動量保存:$1 \times 6 + 1 \times 0 = v_A' + v_B'$、つまり $v_A' + v_B' = 6$

反発係数:$v_A' - v_B' = -0.5 \times (6 - 0) = -3$

連立して $v_A' = 1.5$ m/s、$v_B' = 4.5$ m/s

(2) $KE_{\text{before}} = \frac{1}{2}(1)(36) = 18$ J

$KE_{\text{after}} = \frac{1}{2}(1)(1.5^2) + \frac{1}{2}(1)(4.5^2) = 1.125 + 10.125 = 11.25$ J

$|\Delta KE| = 18 - 11.25 = 6.75$ J

(3) $\mu = \dfrac{1 \times 1}{1 + 1} = 0.5$ kg、$|\Delta KE| = \frac{1}{2}(0.5)(6^2)(1 - 0.5^2) = 0.25 \times 36 \times 0.75 = 6.75$ J。直接計算と一致。

B 発展レベル

4-3-2 B 発展 重心系 衝突

質量 $m_1 = 2\,\text{kg}$ の物体Aが速度 $8\,\text{m/s}$ で、静止している質量 $m_2 = 6\,\text{kg}$ の物体Bに衝突する。$e = 1$(完全弾性衝突)とする。

(1) 重心速度 $v_G$ を求めよ。

(2) 重心系での衝突前の各物体の速度 $\tilde{v}_A, \tilde{v}_B$ を求めよ。

(3) 重心系での衝突後の各物体の速度を求め、実験室系に変換して衝突後の速度 $v_A', v_B'$ を求めよ。

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解答

(1) $v_G = 2$ m/s

(2) $\tilde{v}_A = 6$ m/s、$\tilde{v}_B = -2$ m/s

(3) $v_A' = -4$ m/s、$v_B' = 4$ m/s

解説

(1) $v_G = \dfrac{2 \times 8 + 6 \times 0}{2 + 6} = \dfrac{16}{8} = 2$ m/s

(2) $\tilde{v}_A = 8 - 2 = 6$ m/s、$\tilde{v}_B = 0 - 2 = -2$ m/s

確認:$m_1 \tilde{v}_A + m_2 \tilde{v}_B = 2(6) + 6(-2) = 0$(重心系で全運動量ゼロ)

(3) $e = 1$ なので $\tilde{v}_A' = -\tilde{v}_A = -6$ m/s、$\tilde{v}_B' = -\tilde{v}_B = 2$ m/s

実験室系に戻す:$v_A' = \tilde{v}_A' + v_G = -6 + 2 = -4$ m/s、$v_B' = \tilde{v}_B' + v_G = 2 + 2 = 4$ m/s

物体Aは跳ね返って逆方向に 4 m/s、物体Bは 4 m/s で前方に動き出す。

採点ポイント
  • 重心速度を正しく計算(2点)
  • 重心系の速度を正しく求め、全運動量がゼロであることを確認(2点)
  • $e = 1$ での速度反転を適用(2点)
  • 実験室系への変換が正しい(2点)

C 応用レベル

4-3-3 C 応用 エネルギー損失 換算質量 論述

質量 $m$ の物体が速度 $v_0$ で、静止している質量 $M$ の物体に衝突する(反発係数 $e$)。

(1) 換算質量 $\mu$ を $m, M$ で表せ。

(2) 衝突で失われる運動エネルギーの割合(= 失われるエネルギー / 衝突前のエネルギー)を $e, m, M$ で表せ。

(3) (2)の結果から、$M \to \infty$(壁への衝突)の極限で、エネルギー損失の割合はどうなるか。物理的に解釈せよ。

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解答

(1) $\mu = \dfrac{mM}{m + M}$

(2) $\dfrac{|\Delta KE|}{KE_0} = \dfrac{M}{m + M}(1 - e^2)$

(3) $M \to \infty$ のとき $M/(m+M) \to 1$ なので、損失割合は $(1 - e^2)$。壁は動かないので、エネルギーの損失は物体自身のエネルギーだけに依存する。

解説

(1) $\mu = \dfrac{mM}{m + M}$(定義通り)

(2) 衝突前のエネルギーは $KE_0 = \dfrac{1}{2}mv_0^2$(Bは静止)。相対速度 $v_{\text{rel}} = v_0$。

$|\Delta KE| = \dfrac{1}{2}\mu v_0^2(1 - e^2) = \dfrac{1}{2}\dfrac{mM}{m+M}v_0^2(1-e^2)$

$\dfrac{|\Delta KE|}{KE_0} = \dfrac{\frac{1}{2}\frac{mM}{m+M}v_0^2(1-e^2)}{\frac{1}{2}mv_0^2} = \dfrac{M}{m+M}(1-e^2)$

(3) $M/(m+M) \to 1$ なので、損失割合は $(1-e^2)$。$e = 1$ のとき損失ゼロ(ボールが壁で完全に跳ね返る)。$e = 0$ のとき損失100%(ボールが壁にくっつく)。壁が無限に重いため壁自体は運動エネルギーを受け取らず、エネルギーの行方は反発係数のみで決まる。

採点ポイント
  • 換算質量を正しく表現(1点)
  • エネルギー損失の割合を正しく導出(3点)
  • $M \to \infty$ の極限を正しく取る(3点)
  • 物理的解釈(壁は動かないのでエネルギーを受け取らない)を述べる(3点)