第10章 波の性質

波の基本量と波動方程式

高校物理では、波長 $\lambda$、振動数 $f$、波の速さ $v = f\lambda$ を学び、正弦波を $y = A\sin(\omega t - kx)$ と表します。 これらの公式は問題を解くのに十分な道具ですが、「なぜ波はこの式で表されるのか」「なぜ $v = f\lambda$ が成り立つのか」には答えていません。

大学物理では、波動方程式という偏微分方程式から出発します。 高校で暗記していた正弦波の式は、この方程式の「解」として自然に導かれます。 つまり、1つの方程式を理解すれば、波に関する多くの公式がそこから出てくるのです。

この記事では、波を表す基本量を整理し、波動方程式の意味を理解し、正弦波がその解であることを検証します。

1高校物理の道具を確認する

高校物理では、波を次のように扱います。

  • 波長 $\lambda$:波1つ分の長さ(山から次の山まで)
  • 振動数 $f$:1秒あたりの振動回数。周期 $T$ との関係は $f = 1/T$
  • 波の速さ:$v = f\lambda$
  • 正弦波の式:$y = A\sin(\omega t - kx)$ を暗記して使う

$v = f\lambda$ は問題でよく使いますし、正弦波の式から変位を計算する問題も出題されます。 これらは入試で十分に機能する道具です。

しかし、この道具には次のような限界があります。

  • 正弦波の式は「天から与えられた」もの。なぜ $\sin$ で表されるのか、なぜ引数が $\omega t - kx$ なのかは説明されない
  • $v = f\lambda$ の「理由」が見えない。この関係式は正しいが、なぜ成り立つのかは高校の範囲では触れられない
  • 波動現象の統一的な理解がない。正弦波、定常波、干渉といった現象が、共通の原理からどう繋がっているかが見えにくい

大学物理では、これらすべてに答える1つの方程式を学びます。 それが波動方程式です。

2大学の視点で見ると何が変わるのか

波動方程式を学ぶことで、高校の「暗記する公式」が「導ける結果」に変わります。 具体的に何が変わるかを先に示します。

高校 vs 大学:波の扱い
高校:正弦波の式を暗記する
$y = A\sin(\omega t - kx)$ を覚えて使う。
式の形はこういうもの、と受け入れる。
大学:波動方程式の「解」として導ける
$\dfrac{\partial^2 y}{\partial t^2} = v^2 \dfrac{\partial^2 y}{\partial x^2}$ を満たす関数が正弦波。
暗記ではなく、方程式から出てくる。
高校:$v = f\lambda$ を公式として覚える
なぜ成り立つかは問わない。
大学:$v = \omega/k$ として自然に出る
波数と角振動数の定義から導ける。
高校:正弦波しか扱えない
パルス波や任意の波形は対象外。
大学:任意の波形を扱える
$f(x - vt)$ の形ならすべて波動方程式の解。
この記事で得られること

波の基本量を体系的に理解する。 振幅 $A$、波長 $\lambda$、波数 $k$、角振動数 $\omega$、位相速度 $v$ の定義と相互関係を整理します。 $v = f\lambda$ がなぜ成り立つかも分かります。

波動方程式の意味が分かる。 偏微分という道具を使って、波の運動を支配する方程式を理解します。 正弦波はこの方程式の「解」であり、暗記する必要がなくなります。

正弦波以外の波も統一的に扱える。 波動方程式の一般解 $f(x - vt) + g(x + vt)$ を知ることで、正弦波に限らない任意の波形も同じ枠組みで理解できます。

では、波を表す基本量を改めて整理するところから始めましょう。

3波を表す基本量

波を記述するために使う量を一覧にまとめます。 高校で学んだ量に加え、大学では波数 $k$ と角振動数 $\omega$ が中心的な役割を果たします。

記号 定義 単位
振幅 $A$ 変位の最大値 m
波長 $\lambda$ 空間的な1周期の長さ m
周期 $T$ 時間的な1周期の長さ s
振動数 $f$ $f = 1/T$ Hz
波数 $k$ $k = 2\pi / \lambda$ rad/m
角振動数 $\omega$ $\omega = 2\pi f = 2\pi / T$ rad/s
位相速度 $v$ $v = f\lambda = \omega / k$ m/s

波数 $k$ と角振動数 $\omega$ の意味

波長 $\lambda$ は「1周期あたりの空間の長さ」ですが、波数 $k = 2\pi/\lambda$ は「単位長さあたりの位相の進み」を表します。 同様に、角振動数 $\omega = 2\pi/T$ は「単位時間あたりの位相の進み」です。

なぜ $2\pi$ がつくかというと、$\sin$ 関数の1周期が $2\pi$ ラジアンだからです。 $k$ と $\omega$ を使うと、正弦波の引数を $kx - \omega t$ とシンプルに書けます。

$v = f\lambda$ の導出

高校では公式として覚えた $v = f\lambda$ が、$k$ と $\omega$ を使うと自然に導けます。

$v = f\lambda$ を導く

位相速度の定義 $v = \omega / k$ に、$\omega = 2\pi f$ と $k = 2\pi/\lambda$ を代入します。

$$v = \frac{\omega}{k} = \frac{2\pi f}{2\pi / \lambda} = f\lambda$$

$v = f\lambda$ は「位相速度 = 角振動数 / 波数」の別の書き方にすぎません。

落とし穴:「波数」の定義は文脈で異なる

注意:物理では $k = 2\pi/\lambda$ を波数と呼ぶのが一般的ですが、分光学では $\tilde{\nu} = 1/\lambda$($2\pi$ なし)を波数と呼ぶことがあります。

この教科書では:常に $k = 2\pi/\lambda$ の定義を使います。

4正弦波の式とその読み方

波を表す基本量が整理できたので、正弦波の式を改めて書き下します。

正弦波の式

$$y(x, t) = A \sin(kx - \omega t)$$

$y$ は位置 $x$、時刻 $t$ における媒質の変位。$A$ は振幅、$k$ は波数、$\omega$ は角振動数。 この波は $x$ の正の方向に進む。

各項の意味

  • $A$:振幅。変位の最大値を決める
  • $kx$:空間的な位相。$x$ が $\lambda$ だけ増えると $kx$ は $2\pi$ 増える(1周期分)
  • $\omega t$:時間的な位相。$t$ が $T$ だけ増えると $\omega t$ は $2\pi$ 増える(1周期分)
  • $kx - \omega t$:全体の位相。この値が一定の点は $x = (\omega/k)t + \text{const}$ で移動する。つまり位相速度 $v = \omega/k$ で $x$ 正方向に進む
符号の約束:$kx - \omega t$ か $\omega t - kx$ か

教科書によって $y = A\sin(kx - \omega t)$ と $y = A\sin(\omega t - kx)$ の両方が使われます。 どちらも正しく、$\sin$ の奇関数性 $\sin(-\theta) = -\sin\theta$ により符号が反転するだけです。

波動方程式の議論では $kx - \omega t$ が自然に現れるので、この記事ではこちらを採用します。 高校の教科書で $\omega t - kx$ を使っている場合、位相の符号が逆転するだけで物理的内容は同じです。

$t$ を固定したとき(空間的な波形)

ある瞬間 $t = t_0$ を固定すると、$y(x, t_0) = A\sin(kx - \omega t_0)$ となり、これは $x$ の関数としての $\sin$ 曲線です。 波長 $\lambda = 2\pi/k$ ごとに同じ形が繰り返されます。

$x$ を固定したとき(時間的な振動)

ある位置 $x = x_0$ を固定すると、$y(x_0, t) = A\sin(kx_0 - \omega t)$ となり、これは $t$ の関数としての $\sin$ 曲線です。 周期 $T = 2\pi/\omega$ で振動します。 これは、その場所の媒質が上下に振動している様子を表しています。

5波動方程式

ここからがこの記事の核心です。 高校で暗記した正弦波の式は、実は波動方程式という方程式の「解」です。

1次元の波動方程式

$$\frac{\partial^2 y}{\partial t^2} = v^2 \frac{\partial^2 y}{\partial x^2}$$

$y(x, t)$ は位置 $x$、時刻 $t$ における変位。$v$ は波の位相速度。 この方程式を満たす関数 $y(x, t)$ が「波」である。

偏微分とは何か

$y(x, t)$ は $x$ と $t$ の2つの変数を持つ関数です。 偏微分とは、一方の変数を固定して、もう一方の変数だけで微分することです。

  • $\dfrac{\partial y}{\partial t}$:$x$ を固定して $t$ だけで微分 → ある場所での媒質の速度
  • $\dfrac{\partial y}{\partial x}$:$t$ を固定して $x$ だけで微分 → ある瞬間での波形の傾き
  • $\dfrac{\partial^2 y}{\partial t^2}$:$t$ で2回偏微分 → ある場所での媒質の加速度
  • $\dfrac{\partial^2 y}{\partial x^2}$:$x$ で2回偏微分 → ある瞬間での波形の曲がり具合

波動方程式の物理的意味

波動方程式 $\dfrac{\partial^2 y}{\partial t^2} = v^2 \dfrac{\partial^2 y}{\partial x^2}$ は、次のことを述べています。

波動方程式の意味

媒質のある場所の加速度(左辺)は、その場所での波形の曲がり具合(右辺)に比例する。

波形が凹んでいるところ($\partial^2 y / \partial x^2 < 0$)では媒質に下向きの加速度がかかり、 波形が膨らんでいるところ($\partial^2 y / \partial x^2 > 0$)では上向きの加速度がかかります。 この関係が波を伝播させる仕組みです。

正弦波が波動方程式を満たすことの検証

$y = A\sin(kx - \omega t)$ が実際に波動方程式を満たすことを、偏微分を計算して確認します。

検証:正弦波は波動方程式の解である

$y = A\sin(kx - \omega t)$ とします。

左辺の計算:

$\dfrac{\partial y}{\partial t} = -A\omega\cos(kx - \omega t)$

$\dfrac{\partial^2 y}{\partial t^2} = -A\omega^2\sin(kx - \omega t) = -\omega^2 y$

右辺の計算:

$\dfrac{\partial y}{\partial x} = Ak\cos(kx - \omega t)$

$\dfrac{\partial^2 y}{\partial x^2} = -Ak^2\sin(kx - \omega t) = -k^2 y$

$v^2 \dfrac{\partial^2 y}{\partial x^2} = -v^2 k^2 y$

左辺 = 右辺の条件:

$-\omega^2 y = -v^2 k^2 y$ が成り立つためには $\omega^2 = v^2 k^2$、すなわち

$$v = \frac{\omega}{k}$$

この条件が満たされれば、正弦波は波動方程式の解になります。 そして $v = \omega/k$ は位相速度の定義そのものです。

つまり、$v = \omega/k$(すなわち $v = f\lambda$)は波動方程式から自然に出てくる関係式です。 高校で暗記した公式が、方程式の帰結として理解できました。

6波動方程式の一般解

波動方程式を満たすのは正弦波だけではありません。 実は、任意の波形が波動方程式の解になりえます。

波動方程式の一般解

$$y(x, t) = f(x - vt) + g(x + vt)$$

$f$ と $g$ は任意の2回微分可能な関数。$f(x - vt)$ は $x$ 正方向に速さ $v$ で進む波、$g(x + vt)$ は $x$ 負方向に速さ $v$ で進む波を表す。

なぜ $f(x - vt)$ が波を表すのか

$f(x - vt)$ の意味を考えます。時刻 $t = 0$ での波形が $f(x)$ だとすると、時刻 $t$ での波形は $f(x - vt)$ です。 これは元の波形を $x$ 方向に $vt$ だけずらしたものです。 つまり、波形がそのままの形で速さ $v$ で右に移動しています。

同様に、$g(x + vt)$ は波形が速さ $v$ で左に移動することを表します。

$f(x - vt)$ が波動方程式を満たすことの確認

$\xi = x - vt$ とおくと、$y = f(\xi)$ です。

$\dfrac{\partial y}{\partial t} = f'(\xi) \cdot \dfrac{\partial \xi}{\partial t} = -v f'(\xi)$

$\dfrac{\partial^2 y}{\partial t^2} = v^2 f''(\xi)$

$\dfrac{\partial y}{\partial x} = f'(\xi) \cdot \dfrac{\partial \xi}{\partial x} = f'(\xi)$

$\dfrac{\partial^2 y}{\partial x^2} = f''(\xi)$

よって、$\dfrac{\partial^2 y}{\partial t^2} = v^2 f''(\xi) = v^2 \dfrac{\partial^2 y}{\partial x^2}$

波動方程式を満たすことが確認できました。$f$ がどんな関数であっても成り立ちます。

波動方程式が教えてくれること

波動方程式は「どんな形の波でも、その形を保ったまま一定の速さで伝わる」ことを表しています。

正弦波は波動方程式の解の1つにすぎません。パルス波も三角波も矩形波も、すべて $f(x - vt)$ の形で書けるなら波動方程式の解です。

高校では正弦波しか扱いませんでしたが、波動方程式を出発点にすれば、あらゆる波形を統一的に扱えます。

正弦波が特別に重要な理由

任意の波形が解になるのに、なぜ正弦波を中心に学ぶのでしょうか。 その理由はフーリエの定理にあります。

任意の周期関数は、異なる振動数の正弦波の重ね合わせとして表すことができます(フーリエ級数展開)。 したがって、正弦波の振る舞いを理解すれば、原理的にはどんな波形の振る舞いも理解できます。

正弦波は「波の基本パーツ」とも言えます。この話題は第12章(光)のところで再び登場します。

7つながりマップ

波の基本量と波動方程式は、この後の波動の全ての記事の土台になります。

  • → W-10-2 横波と縦波:波動方程式は横波にも縦波にも適用できる。変位の方向の違いが偏光や媒質の弾性とどう結びつくかを学ぶ。
  • → W-10-3 重ね合わせの原理と干渉:波動方程式が線形であることから、重ね合わせの原理が数学的に導かれる。干渉条件も位相差で統一的に理解できる。
  • → W-11-1 音の伝わり方と音速:音波は縦波であり、波動方程式を空気の圧縮・膨張に適用したもの。音速の式 $v = \sqrt{\gamma P/\rho}$ もここから導ける。
  • → W-12-1 光の反射と屈折:電磁波も波動方程式を満たす。マクスウェル方程式から光の波動方程式が導かれ、光速が求まる。

📋まとめ

  • 波を表す基本量には、振幅 $A$、波長 $\lambda$、波数 $k = 2\pi/\lambda$角振動数 $\omega = 2\pi f$、位相速度 $v = \omega/k$ がある
  • 正弦波 $y = A\sin(kx - \omega t)$ の各項には明確な物理的意味がある。$kx$ は空間的位相、$\omega t$ は時間的位相、$kx - \omega t$ 全体が一定の点が波の進行を表す
  • 波動方程式 $\dfrac{\partial^2 y}{\partial t^2} = v^2 \dfrac{\partial^2 y}{\partial x^2}$ は波を支配する基本方程式であり、「加速度は波形の曲がり具合に比例する」ことを述べている
  • 正弦波は波動方程式の解であり、$v = f\lambda$ は波動方程式から導かれる帰結である
  • 波動方程式の一般解は $f(x - vt) + g(x + vt)$ であり、正弦波に限らず任意の波形が解になりうる

確認テスト

Q1. 波数 $k$ の定義を書き、波長 $\lambda$ との関係を述べてください。

▶ クリックして解答を表示$k = 2\pi / \lambda$。波数は「単位長さあたりの位相の進み(ラジアン)」を表す。波長が短いほど波数は大きい。

Q2. $v = f\lambda$ を、$\omega$ と $k$ を用いて導いてください。

▶ クリックして解答を表示$v = \omega/k = (2\pi f)/(2\pi/\lambda) = f\lambda$。位相速度の定義 $v = \omega/k$ に $\omega$ と $k$ の定義を代入するだけで得られる。

Q3. 波動方程式の左辺 $\partial^2 y / \partial t^2$ は物理的に何を表しますか。

▶ クリックして解答を表示ある位置 $x$ における媒質の加速度を表す。位置を固定して時刻について2回偏微分することで、その場所の媒質がどのように加速しているかが分かる。

Q4. 波動方程式の一般解 $f(x - vt) + g(x + vt)$ において、$f(x - vt)$ はどのような波を表しますか。

▶ クリックして解答を表示$x$ の正方向に速さ $v$ で進む波を表す。$f$ は任意の2回微分可能な関数であり、正弦波でなくてもよい。波形 $f$ がそのままの形を保って右に移動する。

10演習問題

波の基本量と波動方程式の理解を、問題で確認しましょう。

A 基礎レベル

10-1-1 A 基礎 基本量の計算

波長 $\lambda = 0.50$ m、振動数 $f = 400$ Hz の波について、次の量を求めよ。

(1) 波数 $k$

(2) 角振動数 $\omega$

(3) 位相速度 $v$

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(1) $k = 2\pi / 0.50 = 4\pi \approx 12.6$ rad/m

(2) $\omega = 2\pi \times 400 = 800\pi \approx 2510$ rad/s

(3) $v = f\lambda = 400 \times 0.50 = 200$ m/s(または $v = \omega/k = 800\pi / 4\pi = 200$ m/s)

解説

波数 $k$ と角振動数 $\omega$ は、波長と振動数にそれぞれ $2\pi$ を掛けた(割った)ものです。$v = \omega/k$ と $v = f\lambda$ が一致することも確認できます。

B 発展レベル

10-1-2 B 発展 正弦波の読み取り 偏微分

正弦波が $y(x, t) = 0.030\sin(5.0x - 20t)$(m)で表されている。次の問いに答えよ。

(1) 振幅、波数、角振動数をそれぞれ読み取れ。

(2) 波長、周期、位相速度を求めよ。

(3) 位置 $x = 0$ における媒質の速度 $\partial y / \partial t$ を求め、$t = 0$ での値を計算せよ。

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解答

(1) 振幅 $A = 0.030$ m、波数 $k = 5.0$ rad/m、角振動数 $\omega = 20$ rad/s

(2) $\lambda = 2\pi/5.0 \approx 1.26$ m、$T = 2\pi/20 \approx 0.314$ s、$v = 20/5.0 = 4.0$ m/s

(3) $\dfrac{\partial y}{\partial t} = -0.030 \times 20 \cos(5.0x - 20t) = -0.60\cos(5.0x - 20t)$。$x = 0, t = 0$ で $\dfrac{\partial y}{\partial t} = -0.60\cos(0) = -0.60$ m/s

解説

正弦波の式 $y = A\sin(kx - \omega t)$ と見比べることで、各定数を直接読み取ることができます。偏微分では $x$ を定数とみなして $t$ だけで微分します。$\sin$ の微分は $\cos$ であり、内側の $-\omega$ が係数として出てきます。

採点ポイント
  • 各定数の正確な読み取り(2点)
  • $\lambda, T, v$ の計算(3点)
  • 偏微分の計算(3点)
  • 数値の代入(2点)

C 応用レベル

10-1-3 C 応用 波動方程式の検証 論述

次の関数が1次元の波動方程式 $\dfrac{\partial^2 y}{\partial t^2} = v^2 \dfrac{\partial^2 y}{\partial x^2}$ を満たすかどうか調べよ。

(1) $y(x, t) = (x - vt)^3$

(2) $y(x, t) = A e^{-(x - vt)^2}$(ガウス型パルス波)

(3) $y(x, t) = A\sin(kx)\cos(\omega t)$ ただし $\omega = vk$ とする。この関数はどのような波を表すか、物理的意味を述べよ。

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解答

(1) 満たす。

(2) 満たす。

(3) 満たす。この関数は定常波(定在波)を表す。

解説

(1) $\xi = x - vt$ とおくと $y = \xi^3$ は $f(x - vt)$ の形なので、一般解の一部であり波動方程式を満たします。 具体的に計算すると、$\partial^2 y/\partial t^2 = 6v^2(x - vt)$、$v^2 \partial^2 y/\partial x^2 = 6v^2(x - vt)$ で一致します。

(2) ガウス型パルス波 $Ae^{-(x-vt)^2}$ も $f(x - vt)$ の形なので波動方程式を満たします。 これは釣り鐘型の波形が形を変えずに速さ $v$ で進む波を表しています。

(3) $y = A\sin(kx)\cos(\omega t)$ について:

$\partial^2 y/\partial t^2 = -A\omega^2\sin(kx)\cos(\omega t) = -\omega^2 y$

$v^2 \partial^2 y/\partial x^2 = -v^2 Ak^2\sin(kx)\cos(\omega t) = -v^2 k^2 y$

$\omega = vk$ なので $\omega^2 = v^2 k^2$ となり、左辺 = 右辺が成立します。

この関数は空間部分 $\sin(kx)$ と時間部分 $\cos(\omega t)$ に変数分離されており、各点の振幅が位置によって決まる(節と腹がある)定常波を表しています。 これは W-10-3 で詳しく扱います。

採点ポイント
  • (1) $f(x-vt)$ の形であることの指摘または具体的な偏微分計算(3点)
  • (2) 同様の確認とガウス型パルス波の物理的意味(3点)
  • (3) 偏微分の計算と $\omega = vk$ の利用(2点)
  • (3) 定常波であることの指摘と物理的意味の説明(2点)