第18章 交流

RLC回路と共振
─ 微分方程式と複素インピーダンス

高校物理では、コイルのリアクタンス $\omega L$、コンデンサーのリアクタンス $1/(\omega C)$、 インピーダンス $Z = \sqrt{R^2 + (\omega L - 1/(\omega C))^2}$ を公式として覚え、 共振条件 $\omega = 1/\sqrt{LC}$ を暗記します。

大学物理では、RLC直列回路にキルヒホッフの法則を適用すると2階微分方程式が現れることを示します。 さらに、複素インピーダンス $Z = R + i(\omega L - 1/(\omega C))$ を導入すると、 交流回路を直流回路のオームの法則と同じ形 $V = IZ$ で解けるようになります。

この記事では、RLC回路の微分方程式から出発し、 複素インピーダンスの考え方とその物理的意味を解説します。

1高校での扱いを確認する

高校物理では、交流回路の各素子について次のように学びます。

  • 抵抗:$V_R = RI$(直流と同じオームの法則)
  • コイル:リアクタンス $X_L = \omega L$。電圧は電流より位相が $\pi/2$ 進む
  • コンデンサー:リアクタンス $X_C = 1/(\omega C)$。電圧は電流より位相が $\pi/2$ 遅れる

RLC直列回路のインピーダンスは次の式で与えられます。

$$Z = \sqrt{R^2 + \left(\omega L - \frac{1}{\omega C}\right)^2}$$

共振条件は $\omega L = 1/(\omega C)$、すなわち $\omega_0 = 1/\sqrt{LC}$ です。

これらの公式は正しく、入試でも使えます。しかし、いくつかの点が不透明です。

  • なぜインピーダンスが「二乗の和の平方根」になるのか。なぜ単純に $R + \omega L + 1/(\omega C)$ ではないのか
  • 位相差 $\pi/2$ がどこから来るのか。「コイルは電圧が進む」と覚えるが、なぜ $\pi/2$ なのかは説明されない
  • 共振条件の物理的意味。$\omega L = 1/(\omega C)$ のとき何が起きているのかが見えにくい

2大学の視点で何が変わるのか

高校 vs 大学:RLC回路の扱い
高校:$Z$ の公式を暗記する
$Z = \sqrt{R^2 + (X_L - X_C)^2}$
なぜこの形になるかは説明されない。
大学:複素インピーダンスから導出する
$Z = R + i(\omega L - 1/(\omega C))$
$|Z|$ を取ると高校の公式が出る。
高校:各素子の位相差を個別に覚える
コイルは進む、コンデンサーは遅れる…。
大学:位相差は $Z$ の偏角として統一的に出る
$\tan\phi = (\omega L - 1/(\omega C))/R$
高校:$V = IZ$ を使うが、計算が煩雑
位相を手動で追いかける必要がある。
大学:$\tilde{V} = \tilde{I}Z$ で直流と同じように解ける
複素数が位相を自動的に処理する。
この記事で得られること

インピーダンスの公式を導出できるようになる。 キルヒホッフの法則を適用して微分方程式を立て、 複素インピーダンスを導入することで、高校の公式がなぜあの形になるのかが分かります。

交流回路を直流回路と同じ方法で解けるようになる。 複素インピーダンスを使えば、$V = IZ$ のオームの法則がそのまま成り立ちます。 位相差を別途追いかける必要がなくなります。

共振の物理的意味が明確になる。 共振条件 $\omega L = 1/(\omega C)$ のとき、コイルとコンデンサーのインピーダンスが打ち消し合い、 回路全体のインピーダンスが最小($Z = R$)になることが数式で見えます。

3RLC直列回路の微分方程式

抵抗 $R$、コイル(インダクタンス $L$)、コンデンサー(電気容量 $C$)が直列に接続され、 交流電源 $V(t) = V_0 \sin(\omega t)$ に繋がれた回路を考えます。

回路を流れる電流を $I(t)$、コンデンサーに蓄えられた電荷を $Q(t)$ とします。 $I = dQ/dt$ の関係があります。

キルヒホッフの法則の適用

回路を一周すると、各素子の電圧降下の和が電源電圧に等しいので、

$$L\frac{dI}{dt} + RI + \frac{Q}{C} = V_0 \sin(\omega t)$$

$I = dQ/dt$ を代入すると、$Q$ についての2階微分方程式になります。

RLC直列回路の微分方程式

$$L\frac{d^2 Q}{dt^2} + R\frac{dQ}{dt} + \frac{Q}{C} = V_0 \sin(\omega t)$$

これは強制振動の微分方程式と同じ形をしている。 $L$ は質量、$R$ は抵抗(減衰)、$1/C$ はばね定数に対応する。

この微分方程式を直接解くことは可能ですが、計算が煩雑です。 大学物理では、複素インピーダンスを導入することで、 この問題をはるかに簡単に解く方法を使います。

力学との対応

RLC回路の微分方程式 $L\ddot{Q} + R\dot{Q} + Q/C = V_0\sin\omega t$ は、 減衰強制振動の方程式 $m\ddot{x} + \gamma\dot{x} + kx = F_0\sin\omega t$ と同じ形です。

$L \leftrightarrow m$(慣性)、$R \leftrightarrow \gamma$(減衰)、$1/C \leftrightarrow k$(復元力)、$V_0 \leftrightarrow F_0$(外力)。

電気回路と力学が同じ数学で記述できるという事実は、 物理学のさまざまな分野が共通の数学的構造を持つことを示しています。

4複素インピーダンスの導入

交流回路の解析を簡単にするために、電圧と電流を複素数で表すことを考えます。

複素表示の考え方

交流電圧 $V_0 \sin(\omega t)$ を、複素指数関数 $V_0 e^{i\omega t}$ の虚部と見なします。 オイラーの公式 $e^{i\theta} = \cos\theta + i\sin\theta$ から、 $\text{Im}(V_0 e^{i\omega t}) = V_0 \sin(\omega t)$ です。

複素電圧 $\tilde{V} = V_0 e^{i\omega t}$ に対する回路の応答を求め、 最後に虚部を取れば実際の物理量が得られます。

各素子のインピーダンス

電流も $\tilde{I} = I_0 e^{i(\omega t - \phi)}$ の形を仮定します。 $e^{i\omega t}$ の微分は $i\omega e^{i\omega t}$、積分は $e^{i\omega t}/(i\omega)$ であることを使うと、 各素子における電圧と電流の関係は次のようになります。

素子 電圧降下 複素インピーダンス $Z$
抵抗 $R$ $\tilde{V}_R = R\tilde{I}$ $Z_R = R$
コイル $L$ $\tilde{V}_L = L\dfrac{d\tilde{I}}{dt} = i\omega L\,\tilde{I}$ $Z_L = i\omega L$
コンデンサー $C$ $\tilde{V}_C = \dfrac{\tilde{Q}}{C} = \dfrac{\tilde{I}}{i\omega C}$ $Z_C = \dfrac{1}{i\omega C}$
RLC直列回路の複素インピーダンス

$$Z = Z_R + Z_L + Z_C = R + i\omega L + \frac{1}{i\omega C} = R + i\left(\omega L - \frac{1}{\omega C}\right)$$

$\dfrac{1}{i\omega C} = \dfrac{-i}{\omega C}$ を用いた。 交流回路のオームの法則 $\tilde{V} = \tilde{I}Z$ が成り立つ。
複素インピーダンスの意味

複素インピーダンスの実部 $R$ は抵抗(エネルギーを消費する部分)を表し、 虚部 $\omega L - 1/(\omega C)$ はリアクタンス(エネルギーを蓄えて返す部分)を表します。

$\tilde{V} = \tilde{I}Z$ の形は、直流回路のオームの法則 $V = IR$ の自然な拡張です。 抵抗 $R$ を複素数 $Z$ に置き換えるだけで、位相の情報まで含めた計算ができます。

落とし穴:虚数単位 $i$ は「架空」ではない

誤解:「虚数を使うのは数学的なトリックで、物理的意味がない」

実際:虚数単位 $i$ は、位相差 $\pi/2$ を自動的に処理する道具です。 $i$ をかけることは「位相を $\pi/2$ 進める」ことに対応します。 コイルで電圧が電流より $\pi/2$ 進むのは、$Z_L = i\omega L$ の $i$ が表しています。 計算の最後に実部または虚部を取れば、実際に測定できる物理量が得られます。

5インピーダンスの大きさと位相

複素インピーダンス $Z = R + i(\omega L - 1/(\omega C))$ から、 その大きさ(絶対値)と位相(偏角)を求めます。

インピーダンスの大きさ

$$|Z| = \sqrt{R^2 + \left(\omega L - \frac{1}{\omega C}\right)^2}$$

これは高校で暗記した公式そのもの。複素インピーダンスの絶対値を取っただけ。
導出:なぜ「二乗の和の平方根」なのか

複素数 $z = a + bi$ の絶対値は $|z| = \sqrt{a^2 + b^2}$ です。

$Z = R + i(\omega L - 1/(\omega C))$ の場合、$a = R$、$b = \omega L - 1/(\omega C)$ なので、

$$|Z| = \sqrt{R^2 + \left(\omega L - \frac{1}{\omega C}\right)^2}$$

つまり、高校の公式の「二乗の和の平方根」は、 複素数の絶対値を取るという操作に対応していたのです。

電圧と電流の位相差

$$\tan\phi = \frac{\omega L - \dfrac{1}{\omega C}}{R}$$

$\phi > 0$ のとき電圧が電流より位相が進む(誘導性)。 $\phi < 0$ のとき電圧が電流より位相が遅れる(容量性)。

電流の振幅は $I_0 = V_0/|Z|$ で求められます。 これは直流回路の $I = V/R$ と同じ構造で、$R$ が $|Z|$ に置き換わっただけです。

高校 vs 大学:インピーダンスの理解
高校
$Z = \sqrt{R^2 + (X_L - X_C)^2}$ を暗記。なぜ二乗の和の平方根になるかは不明。
大学
複素インピーダンス $Z = R + i(X_L - X_C)$ の絶対値。 直交する2成分(実部と虚部)の合成なので、ピタゴラスの定理と同じ。

6共振 ─ インピーダンスが最小になる条件

RLC直列回路に流れる電流の振幅は $I_0 = V_0/|Z|$ です。 $|Z|$ が最小になるとき、$I_0$ は最大になります。

$|Z| = \sqrt{R^2 + (\omega L - 1/(\omega C))^2}$ を最小にするには、 根号の中の第2項をゼロにすればよいです。

共振条件

$$\omega L = \frac{1}{\omega C} \quad \Longrightarrow \quad \omega_0 = \frac{1}{\sqrt{LC}}$$

共振角振動数 $\omega_0$ で駆動するとき、インピーダンスは $|Z| = R$ で最小となり、 電流振幅は $I_0 = V_0/R$ で最大となる。

共振の物理的意味

共振条件 $\omega L = 1/(\omega C)$ のとき、コイルのリアクタンス $X_L = \omega L$ と コンデンサーのリアクタンス $X_C = 1/(\omega C)$ が等しくなります。

複素インピーダンスで見ると、虚部が $i\omega L + 1/(i\omega C) = i\omega L - i/(\omega C) = 0$ となり、 コイルとコンデンサーの寄与が完全に打ち消し合います。 回路には実質的に抵抗 $R$ だけが残り、インピーダンスは最小になります。

共振の本質

コイルのインピーダンス $i\omega L$ は正の虚数(位相を進める)、 コンデンサーのインピーダンス $1/(i\omega C) = -i/(\omega C)$ は負の虚数(位相を遅らせる)です。

共振のとき、この2つが大きさも等しく符号も逆なので完全に相殺します。 結果として、回路は純粋な抵抗回路のように振る舞い、電流が最大になります。

力学に例えると、ばねの固有振動数と外力の振動数が一致した共振現象と同じです。 電気回路と力学が同じ数学で記述されることの具体例です。

共振のQ値(鋭さ)

共振の鋭さを表す量として $Q = \omega_0 L / R$ があります($Q$ 値、品質係数)。

$Q$ が大きいほど共振ピークが鋭くなり、特定の周波数のみを強く通す「選択性」が高くなります。 ラジオの同調回路やフィルター回路では、この性質を利用して特定の周波数の信号を選び出しています。

7つながりマップ

RLC回路と共振は、電磁気学と力学の共通構造を示す重要なテーマです。

  • ← E-18-1 交流の発生:交流電源 $V = V_0\sin\omega t$ の導出。この記事ではその交流電源をRLC回路に接続した。
  • ← E-15-3 キルヒホッフの法則:回路方程式を立てる際の基礎。交流回路でもキルヒホッフの法則は成り立つ。
  • → E-18-3 交流の実効値と電力:RLC回路で消費される電力を求めるために、実効値と力率の概念が必要になる。
  • 関連:M-6-2 単振動・M-6-3 減衰振動と強制振動:RLC回路の微分方程式は力学の強制振動と同じ形。共振現象も同じ数学で記述される。

📋まとめ

  • RLC直列回路にキルヒホッフの法則を適用すると、2階微分方程式 $L\ddot{Q} + R\dot{Q} + Q/C = V_0\sin\omega t$ が得られる
  • 複素インピーダンス $Z = R + i(\omega L - 1/(\omega C))$ を導入すると、$\tilde{V} = \tilde{I}Z$ の形で交流回路を直流回路のように解ける
  • 高校の $|Z| = \sqrt{R^2 + (\omega L - 1/(\omega C))^2}$ は、複素インピーダンスの絶対値にすぎない
  • 電圧と電流の位相差 $\phi$ は $\tan\phi = (\omega L - 1/(\omega C))/R$ で与えられ、$Z$ の偏角として統一的に扱える
  • 共振条件 $\omega_0 = 1/\sqrt{LC}$ のとき、コイルとコンデンサーの虚部が相殺し、$|Z| = R$(最小)、電流は最大になる

確認テスト

Q1. コイルの複素インピーダンスが $Z_L = i\omega L$ であるとき、電圧と電流の位相関係はどうなりますか。

▶ クリックして解答を表示電圧は電流より位相が $\pi/2$ 進む。$i$ をかけることは位相を $\pi/2$ 進める操作に対応するため。

Q2. 高校のインピーダンスの公式 $Z = \sqrt{R^2 + (\omega L - 1/(\omega C))^2}$ は、大学の視点ではどのような操作に対応していますか。

▶ クリックして解答を表示複素インピーダンス $Z = R + i(\omega L - 1/(\omega C))$ の絶対値(大きさ)を取る操作。複素数 $a + bi$ の絶対値が $\sqrt{a^2 + b^2}$ であることから、自然にこの形になる。

Q3. 共振時にインピーダンスが $|Z| = R$ になるのはなぜですか。

▶ クリックして解答を表示共振条件 $\omega L = 1/(\omega C)$ のとき、複素インピーダンスの虚部が $\omega L - 1/(\omega C) = 0$ となり、コイルとコンデンサーの寄与が打ち消し合うため。実部 $R$ のみが残る。

Q4. RLC回路の微分方程式は、力学のどのような現象と同じ形ですか。

▶ クリックして解答を表示減衰強制振動。$L \leftrightarrow m$(質量)、$R \leftrightarrow \gamma$(抵抗係数)、$1/C \leftrightarrow k$(ばね定数)、$V_0 \leftrightarrow F_0$(外力振幅)が対応する。

10演習問題

RLC回路のインピーダンスと共振について、問題で確認しましょう。

A 基礎レベル

18-2-1 A 基礎 インピーダンスの計算

$R = 30\,\Omega$、$L = 0.1$ H、$C = 100\,\mu$F のRLC直列回路に、角振動数 $\omega = 200$ rad/s の交流電源を接続した。次の問いに答えよ。

(1) コイルのリアクタンス $X_L$ とコンデンサーのリアクタンス $X_C$ を求めよ。

(2) インピーダンスの大きさ $|Z|$ を求めよ。

(3) 電圧振幅 $V_0 = 100$ V のとき、電流振幅 $I_0$ を求めよ。

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(1) $X_L = \omega L = 200 \times 0.1 = 20\,\Omega$。$X_C = 1/(\omega C) = 1/(200 \times 100 \times 10^{-6}) = 50\,\Omega$。

(2) $|Z| = \sqrt{30^2 + (20 - 50)^2} = \sqrt{900 + 900} = 30\sqrt{2} \approx 42.4\,\Omega$

(3) $I_0 = V_0/|Z| = 100/(30\sqrt{2}) = 10\sqrt{2}/6 \approx 2.36$ A

解説

(1) $X_L = \omega L$、$X_C = 1/(\omega C)$ に代入する。$C = 100\,\mu\text{F} = 100 \times 10^{-6}$ F に注意。

(2) $X_L - X_C = 20 - 50 = -30\,\Omega$(容量性)。$|Z| = \sqrt{R^2 + (X_L - X_C)^2}$ に代入。

(3) オームの法則 $I_0 = V_0/|Z|$ をそのまま適用。

B 発展レベル

18-2-2 B 発展 共振 計算

$R = 10\,\Omega$、$L = 0.2$ H、$C = 50\,\mu$F のRLC直列回路について、次の問いに答えよ。

(1) 共振角振動数 $\omega_0$ と共振周波数 $f_0$ を求めよ。

(2) 共振時のインピーダンス $|Z|$ と、$V_0 = 50$ V のときの電流振幅 $I_0$ を求めよ。

(3) 共振時に、コイルとコンデンサーそれぞれにかかる電圧振幅を求めよ。これらの値について気づくことを述べよ。

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(1) $\omega_0 = 1/\sqrt{LC} = 1/\sqrt{0.2 \times 50 \times 10^{-6}} = 1/\sqrt{10^{-5}} = 100\sqrt{10} \approx 316$ rad/s。$f_0 = \omega_0/(2\pi) \approx 50.3$ Hz。

(2) 共振時 $|Z| = R = 10\,\Omega$。$I_0 = V_0/R = 50/10 = 5$ A。

(3) $V_L = I_0 X_L = I_0 \omega_0 L = 5 \times 100\sqrt{10} \times 0.2 = 100\sqrt{10} \approx 316$ V。$V_C = I_0 X_C = I_0/(\omega_0 C) = 5/(100\sqrt{10} \times 50 \times 10^{-6}) = 100\sqrt{10} \approx 316$ V。コイルとコンデンサーの電圧振幅は等しく、かつ電源電圧 50 V よりはるかに大きい。

解説

(1) $\omega_0 = 1/\sqrt{LC}$ に代入。

(2) 共振条件 $\omega L = 1/(\omega C)$ が成り立つとき、虚部が相殺して $|Z| = R$。

(3) 共振時 $X_L = X_C$ なので $V_L = V_C$。しかも $V_L = V_C = I_0 \omega_0 L = (V_0/R) \cdot \omega_0 L = V_0 \cdot Q$($Q = \omega_0 L/R$)。この例では $Q = 100\sqrt{10} \times 0.2/10 \approx 6.3$ なので、コイル・コンデンサーの電圧は電源電圧の約6.3倍になる。これが共振における電圧の増幅現象である。

採点ポイント
  • $\omega_0$ の計算(2点)
  • 共振時 $|Z| = R$ を使う(2点)
  • $V_L = V_C$ を示す(2点)
  • 電源電圧より大きいことに言及(2点)

C 応用レベル

18-2-3 C 応用 複素インピーダンス 位相

$R = 40\,\Omega$、$L = 0.1$ H のRL直列回路(コンデンサーなし)に、$V(t) = 100\sin(300t)$ V の交流電源を接続した。次の問いに答えよ。

(1) 複素インピーダンス $Z$ を求め、その大きさ $|Z|$ と位相 $\phi$ を計算せよ。

(2) 電流の振幅 $I_0$ と、電流の時間依存性 $I(t)$ を求めよ。

(3) 抵抗にかかる電圧の振幅 $V_R$ とコイルにかかる電圧の振幅 $V_L$ を求め、$V_R^2 + V_L^2 = V_0^2$ が成り立つことを確認せよ。

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(1) $Z = R + i\omega L = 40 + i \times 300 \times 0.1 = 40 + 30i\,\Omega$。$|Z| = \sqrt{40^2 + 30^2} = \sqrt{2500} = 50\,\Omega$。$\tan\phi = 30/40 = 3/4$、$\phi = \arctan(3/4) \approx 0.644$ rad $\approx 36.9°$。

(2) $I_0 = V_0/|Z| = 100/50 = 2$ A。$I(t) = 2\sin(300t - 0.644)$ A。

(3) $V_R = I_0 R = 2 \times 40 = 80$ V。$V_L = I_0 \omega L = 2 \times 30 = 60$ V。$V_R^2 + V_L^2 = 80^2 + 60^2 = 6400 + 3600 = 10000 = 100^2 = V_0^2$。成立。

解説

(1) コンデンサーがないので $Z = R + i\omega L$。$|Z|$ と $\phi$ は複素数の絶対値と偏角。

(2) 電圧に対して電流は位相が $\phi$ だけ遅れる。$I(t) = I_0\sin(\omega t - \phi)$。

(3) $V_R$ と $V_L$ は位相が $\pi/2$ ずれているため、単純に足し算できない。二乗の和が $V_0^2$ に等しくなる。これは $|Z|^2 = R^2 + (\omega L)^2$ の両辺に $I_0^2$ をかけたものに対応する。

採点ポイント
  • 複素インピーダンスを正しく記述(2点)
  • $|Z|$ と $\phi$ の計算(各2点)
  • $I(t)$ に位相差を含める(2点)
  • $V_R^2 + V_L^2 = V_0^2$ の検証(2点)