第16章 電流と磁場

電流が作る磁場
─ ビオ・サバールの法則とアンペールの法則

高校物理では、直線電流のまわりの磁場 $B = \mu_0 I/(2\pi r)$、円形電流の中心の磁場 $B = \mu_0 I/(2R)$、 ソレノイド内部の磁場 $B = \mu_0 nI$ を、それぞれ独立した公式として暗記します。 3つの公式がどのような原理から導かれるのかは説明されません。

大学物理では、ビオ・サバールの法則という1つの基本法則から、あらゆる電流配置が作る磁場を計算できます。 さらに、対称性が高い場合にはアンペールの法則を使って、より簡潔に磁場を求められます。 電場におけるクーロンの法則とガウスの法則の関係と同じ構造です。

この記事では、ビオ・サバールの法則とアンペールの法則を学び、 高校で暗記した3つの公式を自分で導出できるようになることを目指します。

1高校物理の道具を確認する

高校物理では、電流が作る磁場について次の3つの公式を学びます。

電流の形状 磁場の公式 磁場の求め方
無限長直線電流 $B = \dfrac{\mu_0 I}{2\pi r}$ 電流からの距離 $r$ の位置
円形電流(半径 $R$) $B = \dfrac{\mu_0 I}{2R}$ 円の中心
ソレノイド(巻き数密度 $n$) $B = \mu_0 nI$ ソレノイド内部

これらは入試でも頻出であり、実用的な道具です。しかし、次のような疑問が残ります。

  • 3つの公式に統一的な原理はあるのか。それぞれ別々に暗記するしかないのか
  • なぜ直線電流の磁場は $1/r$ に比例するのか。クーロン力の $1/r^2$ と何が違うのか
  • 円形電流の中心以外の磁場は求められないのか。高校の公式は中心の値しか教えてくれない

2大学の視点で見ると何が変わるのか

高校 vs 大学:電流が作る磁場
高校:3つの公式を暗記する
直線電流、円形電流、ソレノイド。
それぞれ個別に覚える。
大学:1つの法則からすべて導ける
ビオ・サバールの法則から全部導出。
原理は1つ。あとは計算。
高校:特定の位置の磁場しか求められない
円形電流は中心のみ。
大学:任意の位置の磁場を計算できる
軸上の任意の点、軸外の点も原理的には計算可能。
高校:対称性を使う方法がない
公式を当てはめるだけ。
大学:アンペールの法則で対称性を活用
ガウスの法則と同じ発想で、積分を簡単にする。
この記事で得られること

高校の3公式を自分で導出できるようになる。 ビオ・サバールの法則という1つの原理から、直線電流の磁場を導出します。 アンペールの法則を使えば、ソレノイドの磁場も導出できます。

電場との対応が見える。 ビオ・サバールの法則はクーロンの法則に対応し、アンペールの法則はガウスの法則に対応します。 電磁気学の美しい対称構造が見えてきます。

「なぜこの公式なのか」が分かる。 直線電流の磁場が $1/r$ に比例する理由、ソレノイド内部の磁場が一様になる理由を、 計算によって確認できます。

3ビオ・サバールの法則

電場がクーロンの法則 $\boldsymbol{E} = \dfrac{1}{4\pi\varepsilon_0}\dfrac{q}{r^2}\hat{\boldsymbol{r}}$ で決まるのと同様に、 電流が作る磁場もたった1つの法則で決まります。それがビオ・サバールの法則です。

ビオ・サバールの法則

$$d\boldsymbol{B} = \frac{\mu_0}{4\pi} \frac{I\,d\boldsymbol{l} \times \hat{\boldsymbol{r}}}{r^2}$$

$d\boldsymbol{l}$: 電流素片(電流の微小部分、電流の方向を向くベクトル)、 $\hat{\boldsymbol{r}}$: 電流素片から観測点への単位ベクトル、 $r$: 電流素片から観測点までの距離、 $\mu_0 = 4\pi \times 10^{-7}\,\text{T}\cdot\text{m/A}$: 真空の透磁率。

この法則の構造を読み解きましょう。

  • $1/r^2$:クーロンの法則と同様に、距離の2乗に反比例する
  • $d\boldsymbol{l} \times \hat{\boldsymbol{r}}$:外積により、磁場の方向は電流の向きと距離ベクトルの両方に垂直になる
  • $\mu_0/(4\pi)$:クーロンの法則の $1/(4\pi\varepsilon_0)$ に対応する定数

ビオ・サバールの法則は「電流素片 $Id\boldsymbol{l}$ が作る微小磁場 $d\boldsymbol{B}$」を与えます。 電流全体が作る磁場は、すべての電流素片からの寄与を足し合わせます(積分)。

$$\boldsymbol{B} = \frac{\mu_0}{4\pi} \int \frac{I\,d\boldsymbol{l} \times \hat{\boldsymbol{r}}}{r^2}$$

クーロンの法則 vs ビオ・サバールの法則
クーロンの法則(電場)
$\boldsymbol{E} = \dfrac{1}{4\pi\varepsilon_0}\dfrac{q}{r^2}\hat{\boldsymbol{r}}$
点電荷 $q$ が作る電場。放射状。
ビオ・サバールの法則(磁場)
$d\boldsymbol{B} = \dfrac{\mu_0}{4\pi}\dfrac{I\,d\boldsymbol{l} \times \hat{\boldsymbol{r}}}{r^2}$
電流素片 $Id\boldsymbol{l}$ が作る磁場。電流のまわりを回る。
落とし穴:ビオ・サバールの法則は $1/r^2$ なのに、直線電流の磁場は $1/r$

疑問:「ビオ・サバールの法則は $1/r^2$ なのに、なぜ直線電流の磁場は $B = \mu_0 I/(2\pi r)$ で $1/r$ なのか」

理由:直線電流の場合、電流全体の寄与を積分(足し合わせ)する必要があります。 無限長の電流の各素片から $1/r^2$ の寄与を積分した結果が $1/r$ になるのです。 次のセクションで実際にこの計算を行います。

4直線電流の磁場を導出する

ビオ・サバールの法則を使って、無限長直線電流から距離 $r$ の位置での磁場 $B = \mu_0 I/(2\pi r)$ を導出しましょう。

導出:直線電流の磁場

$z$ 軸に沿って電流 $I$ が流れているとし、$z$ 軸からの距離 $R$ の点Pでの磁場を求めます。

座標 $z$ にある電流素片 $Id\boldsymbol{l} = I\,dz\,\hat{\boldsymbol{z}}$ から点Pまでの距離は $\sqrt{R^2 + z^2}$ です。

外積 $d\boldsymbol{l} \times \hat{\boldsymbol{r}}$ の大きさは $dz \cdot \sin\alpha = dz \cdot \dfrac{R}{\sqrt{R^2 + z^2}}$ です($\alpha$ は $d\boldsymbol{l}$ と $\hat{\boldsymbol{r}}$ のなす角)。

ビオ・サバールの法則に代入します。

$$dB = \frac{\mu_0 I}{4\pi} \cdot \frac{R\,dz}{(R^2 + z^2)^{3/2}}$$

$z = -\infty$ から $z = +\infty$ まで積分します。

$$B = \frac{\mu_0 I R}{4\pi} \int_{-\infty}^{\infty} \frac{dz}{(R^2 + z^2)^{3/2}}$$

$z = R\tan\phi$ と置換すると、$dz = R\sec^2\phi\,d\phi$、$(R^2+z^2)^{3/2} = R^3\sec^3\phi$ となり、

$$B = \frac{\mu_0 I}{4\pi R} \int_{-\pi/2}^{\pi/2} \cos\phi\,d\phi = \frac{\mu_0 I}{4\pi R} \cdot 2 = \frac{\mu_0 I}{2\pi R}$$

高校で暗記した $B = \mu_0 I/(2\pi r)$ が、ビオ・サバールの法則から導出されました。

なぜ $1/r$ になるのか

ビオ・サバールの法則自体は $1/r^2$ ですが、無限長直線電流ではすべての電流素片の寄与を $z = -\infty$ から $z = +\infty$ まで積分します。 この積分の結果として $1/r^2$ が $1/r$ に変わります。

これは、電場でも同じことが起きます。 無限長に帯電した直線(線電荷)の場合、点電荷の $1/r^2$ を積分すると電場は $1/r$ に比例します。 次元解析からも確認できます。無限長の場合、「長さ」のパラメータが消えるため、 距離依存性が1次元分だけ変わるのです。

5アンペールの法則

ビオ・サバールの法則は万能ですが、一般に積分の計算が複雑です。 対称性が高い場合には、より簡潔な道具が使えます。 それがアンペールの法則です。

アンペールの法則

$$\oint_C \boldsymbol{B} \cdot d\boldsymbol{l} = \mu_0 I_{\text{enc}}$$

$C$: 閉じた経路(アンペールループ)、$I_{\text{enc}}$: ループが囲む電流の総和。 左辺は $\boldsymbol{B}$ の経路に沿った線積分。

この法則の構造は、電場のガウスの法則と対応しています。

ガウスの法則 vs アンペールの法則
ガウスの法則(電場)
$\displaystyle\oint \boldsymbol{E} \cdot d\boldsymbol{A} = \frac{Q_{\text{enc}}}{\varepsilon_0}$
閉曲面の面積分。囲んだ電荷で決まる。
アンペールの法則(磁場)
$\displaystyle\oint \boldsymbol{B} \cdot d\boldsymbol{l} = \mu_0 I_{\text{enc}}$
閉経路の線積分。囲んだ電流で決まる。

アンペールの法則の使い方

アンペールの法則を使うための手順は、ガウスの法則と同じ発想です。

  1. 対称性から $\boldsymbol{B}$ の方向を推定する
  2. $\boldsymbol{B}$ が経路に沿って一定になるようなアンペールループを選ぶ
  3. 線積分 $\oint \boldsymbol{B} \cdot d\boldsymbol{l}$ を計算する($B$ が一定なら $B \times$(経路の長さ)になる)
  4. 右辺の $\mu_0 I_{\text{enc}}$ と等置して $B$ を求める

例:直線電流の磁場をアンペールの法則で求める

アンペールの法則による導出

無限長直線電流 $I$ のまわりの磁場は、対称性から電流を中心とする同心円状で、大きさは距離 $r$ のみに依存します。

半径 $r$ の円をアンペールループに選びます。$\boldsymbol{B}$ はこの円に沿って一定の大きさで、方向も経路に平行です。

$$\oint \boldsymbol{B} \cdot d\boldsymbol{l} = B \cdot 2\pi r$$

ループが囲む電流は $I_{\text{enc}} = I$ です。アンペールの法則より、

$$B \cdot 2\pi r = \mu_0 I$$

$$B = \frac{\mu_0 I}{2\pi r}$$

ビオ・サバールの法則では複雑な積分が必要だった直線電流の磁場が、 アンペールの法則を使えば3行で求められました。 ガウスの法則が対称性の高い電荷分布で威力を発揮したのと、まったく同じ構造です。

アンペールの法則が使える条件

アンペールの法則自体はすべての定常電流に対して成り立ちますが、 $B$ を具体的に求めるためには、$\boldsymbol{B}$ がアンペールループ上で一定(または $\boldsymbol{B} \cdot d\boldsymbol{l} = 0$) になるような対称性が必要です。

典型的に使えるのは、無限長直線電流、無限長ソレノイド、無限長トロイドなどです。 対称性がない場合には、ビオ・サバールの法則に戻って計算します。

6ソレノイドの磁場を導出する

アンペールの法則のもう1つの代表的な応用として、ソレノイド内部の磁場を導出します。

導出:ソレノイド内部の磁場

単位長さあたり $n$ 回巻きの無限長ソレノイドに電流 $I$ が流れています。

対称性から、ソレノイド内部の磁場は軸方向に一様で、外部の磁場はゼロと推定できます。

長方形のアンペールループを取ります。辺の長さ $l$ がソレノイドの軸に平行で、ソレノイドの内部と外部にまたがるようにします。

線積分は4辺に分けて考えます。

  • 辺1(内部、軸に平行):$\boldsymbol{B} \cdot d\boldsymbol{l} = Bl$
  • 辺2(外部、軸に平行):$B = 0$ なので寄与ゼロ
  • 辺3, 4(軸に垂直):$\boldsymbol{B} \perp d\boldsymbol{l}$ なので寄与ゼロ

よって $\oint \boldsymbol{B} \cdot d\boldsymbol{l} = Bl$

ループが囲む電流は $I_{\text{enc}} = nIl$(長さ $l$ に含まれるコイルの巻き数は $nl$)。

$$Bl = \mu_0 nIl$$

$$B = \mu_0 nI$$

高校で暗記した $B = \mu_0 nI$ が導出されました。 ソレノイド内部の磁場が位置によらず一様であること、巻き数密度 $n$ と電流 $I$ だけで決まることが、 アンペールの法則から自然に導かれます。

落とし穴:有限長ソレノイドでは $B = \mu_0 nI$ は近似

誤解:「$B = \mu_0 nI$ はあらゆるソレノイドで正確に成り立つ」

正確には:$B = \mu_0 nI$ は無限長ソレノイドでの結果です。 有限長のソレノイドでは、端の近くで磁場が弱くなり、外部の磁場も厳密にはゼロではありません。 ソレノイドの長さが直径に比べて十分大きい場合、内部中央付近ではよい近似になります。

7つながりマップ

ビオ・サバールの法則とアンペールの法則は、磁場の計算の2大道具です。

  • ← E-16-1 磁場の定義と磁力線:磁場 $\boldsymbol{B}$ がローレンツ力から定義されること、磁力線が閉曲線であることを前提として使っている。
  • → E-16-3 ローレンツ力:ここで求めた磁場 $\boldsymbol{B}$ の中で荷電粒子がどう運動するかを扱う。
  • → E-16-4 電流が磁場から受ける力:$d\boldsymbol{F} = Id\boldsymbol{l} \times \boldsymbol{B}$ を使い、2本の平行電流間の力を導出する。
  • → E-17-1 ファラデーの電磁誘導の法則:アンペールの法則の一般化(変位電流の追加)がマクスウェルにより行われ、電磁波の予言につながる。

📋まとめ

  • ビオ・サバールの法則 $d\boldsymbol{B} = \dfrac{\mu_0}{4\pi}\dfrac{I\,d\boldsymbol{l} \times \hat{\boldsymbol{r}}}{r^2}$ は、電流が作る磁場の基本法則。クーロンの法則の磁場版
  • 高校の3公式(直線電流、円形電流、ソレノイド)は、すべてビオ・サバールの法則またはアンペールの法則から導出できる
  • アンペールの法則 $\oint \boldsymbol{B} \cdot d\boldsymbol{l} = \mu_0 I_{\text{enc}}$ は、対称性の高い電流配置で磁場を求める強力な道具
  • アンペールの法則は、電場のガウスの法則と同じ構造を持つ。面積分($d\boldsymbol{A}$)が線積分($d\boldsymbol{l}$)に、電荷が電流に置き換わっている
  • 直線電流の磁場が $1/r$ に比例するのは、$1/r^2$ の寄与を無限長にわたって積分した結果

確認テスト

Q1. ビオ・サバールの法則を式で書き、各記号の意味を説明してください。

▶ クリックして解答を表示$d\boldsymbol{B} = \dfrac{\mu_0}{4\pi}\dfrac{I\,d\boldsymbol{l} \times \hat{\boldsymbol{r}}}{r^2}$。$d\boldsymbol{B}$: 電流素片が作る微小磁場、$I$: 電流、$d\boldsymbol{l}$: 電流素片ベクトル、$\hat{\boldsymbol{r}}$: 電流素片から観測点への単位ベクトル、$r$: 電流素片から観測点までの距離、$\mu_0$: 真空の透磁率。

Q2. アンペールの法則を式で書き、右辺の $I_{\text{enc}}$ は何を表しますか。

▶ クリックして解答を表示$\oint \boldsymbol{B} \cdot d\boldsymbol{l} = \mu_0 I_{\text{enc}}$。$I_{\text{enc}}$ はアンペールループ(閉経路)が囲む正味の電流の総和。ループを右ネジの方向に貫く電流を正とする。

Q3. ビオ・サバールの法則は $1/r^2$ に比例するのに、直線電流の磁場が $1/r$ になるのはなぜですか。

▶ クリックして解答を表示ビオ・サバールの法則は電流の微小部分(素片)が作る磁場の寄与。直線電流全体の磁場を求めるには、すべての素片からの寄与を $-\infty$ から $+\infty$ まで積分する必要がある。この積分の結果として、$1/r^2$ が $1/r$ に変わる。

Q4. アンペールの法則とガウスの法則の構造上の対応を述べてください。

▶ クリックして解答を表示ガウスの法則は $\oint \boldsymbol{E} \cdot d\boldsymbol{A} = Q_{\text{enc}}/\varepsilon_0$(閉曲面の面積分 = 囲んだ電荷)。アンペールの法則は $\oint \boldsymbol{B} \cdot d\boldsymbol{l} = \mu_0 I_{\text{enc}}$(閉経路の線積分 = 囲んだ電流)。面積分が線積分に、電荷が電流に対応している。

10演習問題

ビオ・サバールの法則とアンペールの法則の理解を、問題で確認しましょう。

A 基礎レベル

16-2-1 A 基礎 直線電流

$I = 5.0\,\text{A}$ の直線電流から距離 $r = 0.10\,\text{m}$ の位置での磁場の大きさを求めよ。$\mu_0 = 4\pi \times 10^{-7}\,\text{T}\cdot\text{m/A}$ とする。

(1) $B$ を求めよ。

(2) この結果をアンペールの法則から導け。

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解答

(1) $B = 1.0 \times 10^{-5}\,\text{T}$

(2) 下記解説参照

解説

(1) $B = \dfrac{\mu_0 I}{2\pi r} = \dfrac{4\pi \times 10^{-7} \times 5.0}{2\pi \times 0.10} = 1.0 \times 10^{-5}\,\text{T}$

(2) 電流を中心に半径 $r = 0.10\,\text{m}$ の円をアンペールループとする。対称性より $B$ はループ上で一定。$\oint \boldsymbol{B} \cdot d\boldsymbol{l} = B \cdot 2\pi r = \mu_0 I$。よって $B = \mu_0 I/(2\pi r) = 1.0 \times 10^{-5}\,\text{T}$。

B 発展レベル

16-2-2 B 発展 ソレノイド アンペールの法則

長さ $L = 0.50\,\text{m}$ のソレノイドに $N = 1000$ 回のコイルが巻かれ、電流 $I = 2.0\,\text{A}$ が流れている。ソレノイドの長さは直径に比べて十分大きいとする。

(1) 巻き数密度 $n$ を求めよ。

(2) アンペールの法則を用いて、ソレノイド内部の磁場 $B$ を導出せよ。

(3) ソレノイド外部の磁場がゼロとみなせる理由を述べよ。

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(1) $n = 2000\,\text{回/m}$

(2) $B = 5.0 \times 10^{-3}\,\text{T}$

(3) 下記解説参照

解説

(1) $n = N/L = 1000/0.50 = 2000\,\text{回/m}$

(2) 長方形のアンペールループを取り、一辺(長さ $l$)がソレノイド内部で軸に平行、対辺がソレノイド外部にあるとする。内部の辺: $Bl$、外部の辺: $0$(外部磁場ゼロ)、垂直な辺: $0$($\boldsymbol{B} \perp d\boldsymbol{l}$)。$Bl = \mu_0 nIl$ より $B = \mu_0 nI = 4\pi \times 10^{-7} \times 2000 \times 2.0 = 5.0 \times 10^{-3}\,\text{T}$

(3) 無限長ソレノイドでは、対称性より外部の磁場は軸方向に一様で位置に依存しない。ソレノイドから十分遠方で磁場はゼロになるべきだが、一様であれば遠方の値はどこでも同じ。よって外部磁場はゼロ。

採点ポイント
  • 巻き数密度の計算(2点)
  • アンペールループの設定と各辺の寄与の説明(3点)
  • $B = \mu_0 nI$ の導出(2点)
  • 外部磁場ゼロの対称性の議論(3点)

C 応用レベル

16-2-3 C 応用 ビオ・サバール 円形電流

半径 $R$ の円形コイルに電流 $I$ が流れている。ビオ・サバールの法則を用いて、円の中心での磁場 $B$ を導出せよ。

(1) 円形電流の任意の素片 $Id\boldsymbol{l}$ から中心への距離と、$d\boldsymbol{l} \times \hat{\boldsymbol{r}}$ の大きさを求めよ。

(2) ビオ・サバールの法則を積分して $B = \dfrac{\mu_0 I}{2R}$ を導出せよ。

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(1) 距離は $R$(すべての素片で等しい)。$|d\boldsymbol{l} \times \hat{\boldsymbol{r}}| = dl$($d\boldsymbol{l}$ と $\hat{\boldsymbol{r}}$ は常に垂直なので $\sin 90° = 1$)

(2) $B = \dfrac{\mu_0 I}{2R}$

解説

(1) 円形電流の任意の点から中心までの距離はすべて $R$。電流の向きは円の接線方向であり、中心への方向ベクトルは半径方向。接線と半径は常に直交するため、$|d\boldsymbol{l} \times \hat{\boldsymbol{r}}| = dl \cdot \sin 90° = dl$。

(2) 対称性から、中心での磁場はすべての素片からの寄与が同じ方向(コイル面に垂直な方向)を向く。

$$B = \frac{\mu_0 I}{4\pi} \oint \frac{dl}{R^2} = \frac{\mu_0 I}{4\pi R^2} \cdot 2\pi R = \frac{\mu_0 I}{2R}$$

$\oint dl = 2\pi R$(円周の長さ)を用いた。

採点ポイント
  • 距離が一定 $R$ であることの指摘(2点)
  • $d\boldsymbol{l} \perp \hat{\boldsymbol{r}}$ の議論(2点)
  • 対称性から磁場の方向が揃うことの説明(2点)
  • 積分の実行と最終結果(4点)