電場・磁場・電磁波 ── マクスウェル方程式が一つの理論体系に統合する。
電磁気学は本書で最大の編です(7章26記事)。高校では電気と磁気を別々の分野として学び、それぞれに個別の公式があります。クーロンの法則、オームの法則、レンツの法則、フレミングの法則――覚えるべき法則の数は物理の全分野で最も多くなります。
大学では、これらすべてがマクスウェル方程式という4つの式に集約されます。そして、電場と磁場を結びつけることで電磁波の存在が予言され、「光は電磁波である」という結論が数学的に導かれます。この編の中心概念は「場」です。力を「遠隔作用」ではなく「場を介した近接作用」として捉え直すことが、大学電磁気学の出発点です。
高校で個別に覚える多数の法則は、マクスウェル方程式という4つの式に集約されます。「場」という概念を軸に据えることで、電気・磁気・光が一つの理論として統合されます。
| テーマ | 高校 | 大学 |
|---|---|---|
| 電場 | 力の比として定義 | ベクトル場として可視化 |
| クーロンの法則 | 個別公式として暗記 | ガウスの法則で一般化 |
| 電位 | 「高い・低い」の定性的理解 | 電場の線積分 $V = -\int \vec{E} \cdot d\vec{r}$ |
| 電磁誘導 | レンツの法則(定性的) | ファラデーの法則 $\mathcal{E} = -d\Phi/dt$ |
| 交流回路 | 公式の暗記 | 微分方程式と複素インピーダンス |
| 電磁波 | 「光は電磁波」と暗記 | マクスウェル方程式から導出 |
この編で新たに必要になる数学は、ベクトル場、面積分・線積分、微分方程式です。ベクトル場は「空間の各点にベクトルが定義されている」という概念で、電場や磁場を記述するための言語です。面積分・線積分は力学の積分の自然な拡張です。いずれも各記事の中で導入します。