第21章 粒子の波動性と原子モデル

シュレーディンガー方程式の導入
─ 波動関数と確率解釈

シュレーディンガー方程式は高校物理では扱いません。 しかし、ド・ブロイ波やボーアモデルで見てきた「粒子の波動性」を正確に記述するためには、 この方程式が不可欠です。

大学物理では、粒子の状態を波動関数 $\psi(x)$ で表し、 その絶対値の二乗 $|\psi(x)|^2$ が粒子の存在確率を与えると解釈します。 シュレーディンガー方程式は、この波動関数を求めるための基本方程式です。

この記事では、シュレーディンガー方程式の形を紹介し、 最も単純な例(箱の中の粒子)を解くことで、 エネルギーが飛び飛びになることが方程式の帰結として自然に出てくることを示します。 ボーアモデルで「仮定」として導入した量子条件が、 シュレーディンガー方程式からは「結果」として得られることを理解できます。

1高校での扱い

高校物理では、シュレーディンガー方程式は登場しません。 原子のエネルギー準位はボーアモデルの枠組みで扱い、 量子条件 $2\pi r = n\lambda$ を出発点として使います。

しかし、ボーアモデルの量子条件は「仮定」として天下り的に導入されたものでした。 なぜ $2\pi r = n\lambda$ でなければならないのか、 なぜエネルギーは飛び飛びの値しか取れないのか ── これらの「なぜ」に答えるのがシュレーディンガー方程式です。

2大学の視点で何が変わるか

高校 vs 大学:原子モデルの扱い
高校:量子条件を仮定する
$2\pi r = n\lambda$ を出発点として使う。
「なぜこの条件なのか」は問わない。
大学:方程式の解として導かれる
シュレーディンガー方程式を解くと、
エネルギーの量子化が自動的に出てくる。
量子条件は「結果」であり「仮定」ではない。
高校:電子は確定した軌道を回る
惑星モデルに近いイメージ。
大学:電子は確率的に分布する
$|\psi(x)|^2$ が存在確率を与える。
高校:水素原子のみ
多電子原子は扱えない。
大学:あらゆる量子系に適用可能
原子、分子、固体、素粒子すべてに同じ方程式を使う。
この記事で得られること

波動関数と確率解釈を理解できる。 粒子の状態は波動関数 $\psi(x)$ で記述され、$|\psi(x)|^2$ が粒子を位置 $x$ に見出す確率密度を与えます。

シュレーディンガー方程式の形と意味が分かる。 方程式の各項(運動エネルギー項、ポテンシャル項)が何を表すかを理解します。

エネルギーの量子化が「境界条件」から生じることを体験する。 箱の中の粒子という単純な例を通じて、境界条件がエネルギーを飛び飛びの値に制限することを確認します。

3波動関数の導入

ド・ブロイの仮説により、粒子は波動性を持つことが分かりました。 では、その「波」を数学的にどう記述すればよいのでしょうか。

波動関数 $\psi(x)$ とは何か

粒子の波動的な性質を記述する関数を波動関数(wave function)と呼び、$\psi(x)$ と書きます。 水面の波が各点での水面の高さで表されるように、 波動関数は各位置での「波の振幅」を表します。

ただし、波動関数自体は直接的な物理量ではありません。 物理的な意味を持つのは、その絶対値の二乗 $|\psi(x)|^2$ です。

ボルンの確率解釈

$$|\psi(x)|^2\,dx = \text{位置 } x \text{ から } x + dx \text{ の間に粒子を見出す確率}$$

$|\psi(x)|^2$ は確率密度と呼ばれます。 粒子がどこかに必ず存在するので、全空間での積分は1になります: $\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty} |\psi(x)|^2\,dx = 1$(規格化条件)。
波動関数の意味

古典力学では、粒子の状態は「位置 $x$ と速度 $v$」で完全に決まります。 量子力学では、粒子の状態は波動関数 $\psi(x)$ で記述されます。

波動関数は「粒子がどこにいるか」を確定的には教えてくれません。 「粒子をどの位置に見出す確率が高いか」という確率的な情報を与えます。

これは測定の不完全さによるものではなく、 自然界の根本的な性質だと量子力学は主張します。

落とし穴:$\psi(x)$ は物理量ではない

誤解:「$\psi(x)$ が大きい点に粒子がいる」

正確な理解:$\psi(x)$ は一般に複素数であり、それ自体は直接測定できない。 物理的に意味があるのは $|\psi(x)|^2$(確率密度)だけです。 $\psi(x)$ が負の値を取ったり複素数であったりしても、 $|\psi(x)|^2$ は常に正の実数になります。

4時間に依存しないシュレーディンガー方程式

波動関数 $\psi(x)$ を求めるための基本方程式が、シュレーディンガー方程式です。 定常状態(時間に依存しない状態)を扱う場合、次の形になります。

時間に依存しないシュレーディンガー方程式(1次元)

$$-\frac{\hbar^2}{2m}\frac{d^2\psi}{dx^2} + V(x)\psi(x) = E\psi(x)$$

$\hbar = h/(2\pi)$:ディラック定数、$m$:粒子の質量、$V(x)$:ポテンシャルエネルギー、$E$:全エネルギー。 この方程式を満たす $\psi(x)$ と $E$ を求めることが量子力学の基本的な問題です。

各項の物理的意味

この方程式の各項が何を意味するかを整理します。

  • 第1項 $-\dfrac{\hbar^2}{2m}\dfrac{d^2\psi}{dx^2}$:運動エネルギーに相当する項。波動関数の曲がり具合(2階微分)が運動エネルギーに関係する
  • 第2項 $V(x)\psi(x)$:ポテンシャルエネルギー
  • 右辺 $E\psi(x)$:全エネルギー

つまり、この方程式は「運動エネルギー + ポテンシャルエネルギー = 全エネルギー」を 波動関数の言葉で書き直したものです。 古典力学のエネルギー保存則と論理構造は同じです。

なぜ微分方程式なのか

古典力学では粒子の運動エネルギーは $K = p^2/(2m)$ と書けます。 量子力学では運動量 $p$ が微分演算子 $-i\hbar\,d/dx$ に置き換わります。 そのため $p^2/(2m)$ は $-\hbar^2/(2m)\,d^2/dx^2$ という2階微分に変わり、 エネルギーの関係式が微分方程式になります。

この「物理量を演算子に置き換える」手続きは量子力学の基本原理の1つであり、 詳しくは大学2年以降の量子力学の講義で学びます。

5箱の中の粒子 ─ 最も単純な量子系

シュレーディンガー方程式がどのように働くかを、最も単純な例で見てみましょう。

問題設定:無限井戸型ポテンシャル

幅 $L$ の箱の中に粒子が閉じ込められている状況を考えます。

  • 箱の内部($0 < x < L$):$V(x) = 0$(ポテンシャルなし)
  • 箱の外部($x \leq 0$ または $x \geq L$):$V(x) = \infty$(壁が無限に高い)

壁が無限に高いため、粒子は箱の外に出ることができません。 したがって、$\psi(x) = 0$($x \leq 0$ および $x \geq L$)です。

箱の内部でのシュレーディンガー方程式

箱の内部では $V = 0$ なので、方程式は次のように簡略化されます。

$$-\frac{\hbar^2}{2m}\frac{d^2\psi}{dx^2} = E\psi$$

これを整理すると、

$$\frac{d^2\psi}{dx^2} = -\frac{2mE}{\hbar^2}\psi = -k^2\psi$$

ここで $k^2 = 2mE/\hbar^2$ と定義しました。 この方程式の一般解は、

$$\psi(x) = A\sin(kx) + B\cos(kx)$$

境界条件からエネルギーが決まる

境界条件の適用

条件1:$\psi(0) = 0$(壁の位置で波動関数がゼロ)

$\psi(0) = A\sin(0) + B\cos(0) = B = 0$

よって $B = 0$、$\psi(x) = A\sin(kx)$

条件2:$\psi(L) = 0$

$\psi(L) = A\sin(kL) = 0$

$A \neq 0$(波動関数が恒等的にゼロでは粒子が存在しない)なので、$\sin(kL) = 0$

$$kL = n\pi \qquad (n = 1, 2, 3, \ldots)$$

$k = n\pi/L$ を $k^2 = 2mE/\hbar^2$ に代入すると、

$$E_n = \frac{n^2\pi^2\hbar^2}{2mL^2} = \frac{n^2 h^2}{8mL^2}$$

箱の中の粒子のエネルギー準位

$$E_n = \frac{n^2 h^2}{8mL^2} \qquad (n = 1, 2, 3, \ldots)$$

$$\psi_n(x) = \sqrt{\frac{2}{L}}\sin\left(\frac{n\pi x}{L}\right)$$

エネルギーは $n^2$ に比例して飛び飛びの値を取ります。 $n = 0$ は許されません($\psi = 0$ となり粒子が存在しないため)。 波動関数の係数 $\sqrt{2/L}$ は規格化条件から決まります。
エネルギーが飛び飛びになる理由

エネルギーが連続ではなく離散的な値しか取れないのは、 境界条件のためです。 壁の位置で波動関数がゼロでなければならないという条件が、 波長(したがってエネルギー)を特定の値に制限します。

これは、弦の定常波と同じ論理です。 両端が固定された弦では、弦の長さが半波長の整数倍のときだけ定常波が立ちます。 箱の中の粒子も、箱の幅がド・ブロイ波の半波長の整数倍のときだけ安定な状態が存在します。

ボーアモデルでは量子条件を「仮定」として導入しましたが、 シュレーディンガー方程式では境界条件から「結果」として出てきます。 これが根本的な違いです。

ゼロ点エネルギー

$n = 1$ の状態(基底状態)でもエネルギーはゼロではなく、$E_1 = h^2/(8mL^2) > 0$ です。 これをゼロ点エネルギーと呼びます。

古典力学では粒子は箱の中で静止でき、エネルギーをゼロにできます。 しかし量子力学では、不確定性原理により粒子を完全に静止させることはできず、 必ず最小限の運動エネルギーが残ります。

6量子力学の世界観

シュレーディンガー方程式と波動関数の確率解釈は、 古典物理学とは根本的に異なる世界観を持っています。

確率解釈の意味

古典力学では、位置と速度が分かれば粒子の未来の運動は完全に予測できます(決定論)。 量子力学では、波動関数が与えられても、 個々の測定結果は確率的にしか予測できません(確率論)。

ただし、確率分布そのものは方程式によって厳密に決まります。 「何が起きるか」は予測できなくても、「何がどのくらいの確率で起きるか」は正確に計算できます。

不確定性原理の概要

ハイゼンベルクの不確定性原理

$$\Delta x \cdot \Delta p \geq \frac{\hbar}{2}$$

$\Delta x$:位置の不確定さ、$\Delta p$:運動量の不確定さ。 位置と運動量を同時に任意の精度で測定することはできない。 これは測定装置の限界ではなく、自然界の根本的な性質です。

不確定性原理は、波動関数の性質から数学的に導かれます。 位置が正確に決まった状態($\Delta x$ が小さい)では波動関数が狭い範囲に集中しますが、 そのような波は多くの波長成分を含むため運動量が不確定($\Delta p$ が大きい)になります。 逆もまた然りです。

古典力学 vs 量子力学の世界観
古典力学
粒子は確定した位置と速度を持つ。初期条件が分かれば未来は完全に予測可能。
決定論的な世界観。
量子力学
粒子は波動関数で記述される。測定結果は確率的。位置と運動量は同時に正確には決まらない。
確率論的な世界観。
落とし穴:不確定性は「知らない」のではなく「決まっていない」

誤解:「粒子は実際には確定した位置を持っているが、我々の測定技術が不十分で正確に測れないだけ」

正確な理解:量子力学の主張は、測定前の粒子は確定した位置を「持っていない」ということです。 位置が「決まる」のは測定した瞬間であり、それ以前は確率分布として存在しています。 これは多くの実験(ベルの不等式の検証など)で確認されています。

7つながりマップ

シュレーディンガー方程式は、量子力学のあらゆるテーマの出発点です。

  • ← A-21-1 ド・ブロイ波:粒子の波動性を記述する必要性から、シュレーディンガー方程式が生まれた。ド・ブロイの関係式 $p = h/\lambda$ が方程式の構成要素になっている。
  • ← A-21-2 ボーアモデル:ボーアモデルの量子条件はシュレーディンガー方程式の帰結として導かれる。ボーアモデルは量子力学の近似的な先駆者。
  • → A-21-4 水素原子のエネルギー準位:シュレーディンガー方程式をクーロンポテンシャルに適用し、水素原子の完全な解を得る。量子数 $(n, l, m)$ による軌道の分類も可能になる。
  • → A-22-1 原子核の構造:核子(陽子と中性子)も量子力学に従い、原子核の中に閉じ込められた量子系として扱える。

📋まとめ

  • 粒子の状態は波動関数 $\psi(x)$ で記述され、$|\psi(x)|^2$ が存在確率密度を与える(ボルンの確率解釈)
  • 時間に依存しないシュレーディンガー方程式は $-\dfrac{\hbar^2}{2m}\dfrac{d^2\psi}{dx^2} + V(x)\psi = E\psi$ であり、エネルギー保存則を波動関数の言葉で表現したもの
  • 箱の中の粒子では、境界条件によりエネルギーが $E_n = n^2 h^2/(8mL^2)$ と飛び飛びの値に制限される
  • ボーアモデルの量子条件は「仮定」だったが、シュレーディンガー方程式では境界条件から「結果」として出てくる
  • 不確定性原理 $\Delta x \cdot \Delta p \geq \hbar/2$ は量子力学の基本的性質であり、測定装置の限界ではない
  • 量子力学は確率論的な理論であるが、確率分布自体は方程式によって厳密に決定される

確認テスト

Q1. 波動関数 $\psi(x)$ の絶対値の二乗 $|\psi(x)|^2$ は何を表しますか。

▶ クリックして解答を表示粒子を位置 $x$ に見出す確率密度。$|\psi(x)|^2\,dx$ が位置 $x$ から $x + dx$ の間に粒子を見出す確率を与える。

Q2. 箱の中の粒子でエネルギーが飛び飛びの値になる理由は何ですか。

▶ クリックして解答を表示壁の位置で波動関数がゼロになるという境界条件のため。この条件を満たす波(定常波)は波長が特定の値に制限され、それに対応するエネルギーも飛び飛びの値になる。

Q3. ゼロ点エネルギーとは何ですか。なぜ存在しますか。

▶ クリックして解答を表示基底状態($n = 1$)でも残る最小のエネルギー $E_1 = h^2/(8mL^2)$。不確定性原理により、粒子を完全に静止させることはできないため、必ず最小限の運動エネルギーが存在する。

Q4. 不確定性原理は測定装置の性能限界を述べたものですか。

▶ クリックして解答を表示いいえ。不確定性原理は自然界の根本的な性質であり、測定装置をいくら改良しても回避できない。位置と運動量を同時に正確に決めることは原理的に不可能である。

10演習問題

シュレーディンガー方程式と波動関数の基本を確認しましょう。

A 基礎レベル

21-3-1 A 基礎 箱の中の粒子

幅 $L = 1.0 \times 10^{-10}$ m の箱の中に電子(質量 $m = 9.11 \times 10^{-31}$ kg)が閉じ込められている。基底状態($n = 1$)のエネルギーを eV 単位で求めよ。$h = 6.63 \times 10^{-34}$ J$\cdot$s、$1$ eV $= 1.60 \times 10^{-19}$ J とする。

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

$E_1 \approx 37.6$ eV

解説

$E_1 = \dfrac{h^2}{8mL^2} = \dfrac{(6.63 \times 10^{-34})^2}{8 \times 9.11 \times 10^{-31} \times (1.0 \times 10^{-10})^2}$

$= \dfrac{4.40 \times 10^{-67}}{7.29 \times 10^{-50}} = 6.03 \times 10^{-18}$ J

$= \dfrac{6.03 \times 10^{-18}}{1.60 \times 10^{-19}} \approx 37.6$ eV

原子サイズの箱に電子を閉じ込めると、ゼロ点エネルギーは数十 eV というかなり大きな値になります。

B 発展レベル

21-3-2 B 発展 エネルギー準位 遷移

幅 $L$ の箱の中の粒子について、次の問いに答えよ。

(1) $n = 1$ と $n = 2$ のエネルギー比 $E_2/E_1$ を求めよ。

(2) $n = 2$ から $n = 1$ への遷移で放出される光子のエネルギーを $E_1$ を用いて表せ。

(3) 箱の幅 $L$ を2倍にすると、基底状態のエネルギーはどうなるか。

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(1) $E_2/E_1 = 4$

(2) $E_2 - E_1 = 4E_1 - E_1 = 3E_1$

(3) $E_1$ は $1/4$ になる

解説

(1) $E_n = n^2 h^2/(8mL^2)$ より $E_2 = 4 h^2/(8mL^2) = 4E_1$

(2) 放出光子のエネルギー $= E_2 - E_1 = 4E_1 - E_1 = 3E_1$

(3) $E_1 \propto 1/L^2$ なので、$L$ を2倍にすると $E_1$ は $(1/2)^2 = 1/4$ になる。箱が広くなるほど閉じ込めが弱くなり、ゼロ点エネルギーが小さくなります。これは不確定性原理と整合します:$\Delta x$ が大きくなると $\Delta p$ の最小値が小さくなるため、最小運動エネルギーも小さくなります。

採点ポイント
  • $E_n \propto n^2$ を正しく使う(2点)
  • 遷移エネルギーの計算(2点)
  • $E_1 \propto 1/L^2$ の関係(2点)
  • 不確定性原理との整合性に言及(2点)

C 応用レベル

21-3-3 C 応用 波動関数 論述

幅 $L$ の箱の中の粒子について、基底状態($n = 1$)と第一励起状態($n = 2$)の波動関数はそれぞれ $\psi_1(x) = \sqrt{2/L}\sin(\pi x/L)$、$\psi_2(x) = \sqrt{2/L}\sin(2\pi x/L)$ である。次の問いに答えよ。

(1) $n = 1$ の状態で粒子が見出される確率が最大になる位置を求めよ。

(2) $n = 2$ の状態で粒子が見出される確率がゼロになる位置(壁の位置を除く)を求めよ。この位置を何と呼ぶか。

(3) ボーアモデルと比べたとき、シュレーディンガー方程式によるアプローチの本質的な違いを説明せよ。

▶ クリックして解答・解説を表示
解答

(1) $x = L/2$

(2) $x = L/2$。節(ノード)と呼ぶ。

(3) ボーアモデルでは量子条件を「仮定」として導入するが、シュレーディンガー方程式では境界条件を満たす解を求めることで、エネルギーの量子化が「結果」として自然に出てくる。また、電子の位置は確定した軌道ではなく確率分布として記述される。

解説

(1) $|\psi_1(x)|^2 = (2/L)\sin^2(\pi x/L)$。$\sin^2$ が最大になるのは $\sin(\pi x/L) = \pm 1$、すなわち $\pi x/L = \pi/2$ より $x = L/2$。箱の中央で粒子を見出す確率が最も高くなります。

(2) $|\psi_2(x)|^2 = (2/L)\sin^2(2\pi x/L)$。$\sin(2\pi x/L) = 0$ となるのは $2\pi x/L = \pi$ より $x = L/2$。この点を節(ノード)と呼びます。$n = 2$ の状態では、箱の中央に粒子は絶対に存在しません。

(3) ボーアモデルは量子条件という「仮定」を天下り的に導入するアドホックな理論でした。シュレーディンガー方程式は、波動関数と境界条件という基本原理から出発し、エネルギーの量子化を「導出」します。さらに、粒子の位置を確率分布として記述できるため、ボーアモデルの「確定した軌道」というフィクションを必要としません。

採点ポイント
  • $|\psi_1|^2$ の最大値の位置を正しく求める(2点)
  • $|\psi_2|^2 = 0$ の位置と「節」の用語(2点)
  • 「仮定」vs「結果」の違いを指摘(3点)
  • 確率的記述についての言及(3点)